2014-10-02から1日間の記事一覧

小説 丘の上から ①秋の章 7

轟々と何かが音をたてている。それは2CVのエンジン音ではなく風の音だった。息を吸い込むとひんやり冷たかった。丸められ、地面に置かれたジャンパーのポケットからごそごそと外へ出た僕は身ぶるいした。僕はしばらく茫然と立ち尽くした。そこは広々とした…