fridayusaoのブログ〜丘の上から

統合失調症でDID、読書と音楽鑑賞の日々の徒然。

もう森へなんか行かない

長女がヘルニアになったので孫を連れて科学館へ行った。箱物好きの三女と駅で待ち合わせGO!

数年前にリニューアルしたばかりの科学館はプラネタリウムが人気だが4歳はどっこい暗闇が大の苦手だ。だからプラネタリウムは今日は無し。プラネタリウム目当ての長蛇の列の脇をするりと抜けてはやばやと入館。わーい。三女は4歳よりもはしゃいでいる。電気の実験と寒さの実験を見るには整理券が必要だ。しかし午前中の部には間に合わずかろうじて竜巻実験を見るも、4歳は隣の新幹線のジオラマが気になって気もそぞろ、押し寄せる人波に追いやられてあっという間、前が見えない。

それでも各フロアで様々な装置のボタンを押しまくり楽しむ4歳と三女であった。

昼になり、前から行きたかったグリーンカレーヌードルのお店でランチ。お土産屋さんで買ったスペースシャトルのダイキャストをご満悦眺めつつ4歳もグリーンカレーヌードルを食べている。大丈夫だよ。きっとタイの幼児もこれ食べてるよ。あかーん。ひーひー。グリーンカレーはやっぱり辛かった。

そんなこともあろうかと三女は味噌ラーメンを注文していた。

科学館は面白い。今日はチョロチョロと駆け回る4歳を追いかけるのに力を使い果たしてなかなかじっくりとは楽しめなかったが、また是非とも来たいものだ。

埼玉時代三女と2人で上野の博物館へ行ったことがあった。その日どうしたことか私は途中すこぶる体調が悪くなり結局館内を車椅子で回ったのだが、最上階に進むスロープの場所がわからなくて困っていたらすっと現れた初老の男性が丁寧に説明してくれた。

最上階のそのフロアーには百体以上の動物の剥製が陳列してあった。剥製の森である。異様な光景に沈黙していると先ほどの男性が、端の剥製から名前や生態などを説明してくれるではないか。一瞬訳がわからなかったがその人は博物館のガイドさんだったとすぐに判明した。

剥製というものはある意味生きている動物よりも生々しい何かを発している。たいていは大きく口を開けて威嚇していたり、きらきらした瞳でこちらを見ている。剥製の技術が素晴らしいのと、フロアーの照明が若干落とし気味なのとで動物たちは今にも動き出しそうな気配だ。

ただし剥製である。よく見ると肉食獣のすぐ隣に草食獣が並んでいる。野生界ではまずあり得ない光景です。男性はしみじみ語る。そうですね。私も頷いた。

その時に気になり、帰宅後あれこれと調査し続けた動物がいる。ディクディクである。

ディクディクは大きさは大きめの猫くらいで眉間の上に可愛らしい角が2本生えている。ウシ科小型アンティロープ。顔も大きさもそっくりのやつにマメジカがいるがマメジカはウシ科ではない。ウシ科をひいきにするわけではないが、マメジカに比べディクディクは凛として体に無駄肉が無い。

博物館で剥製を見たとき、私はその可愛らしさに目を見張った。これは何ですか?とガイドの男性に尋ねた。男性は口の端にわずかに笑みを浮かべて、これは大変珍しい生き物です、と小さく数回頷いた。私がわなわなとなっていると、男性はこれはアフリカに住んでいるディクディクという動物です。世界で最も小さなウシなのです、と続けた。

しかしこれは記憶違いだった。私はそれからまもなくして再び博物館を訪れ最上階へ行き剥製を一体一体見て回ったがディクディクはどこにも居なかった。私はため息をついた。なんだかキツネに騙されたような気持ちがした。ホンドキツネの剥製が歯をむき出してこっちを見ていた。

よくよく考えてみればあの日車椅子に乗ったあたりから記憶は曖昧だ。そしてそんな時決まって私は突き詰めることをしない。もやもやした記憶を辿ることをいつも忌避している。

ディクディクは実在する。私はネットでディクディクの生態について書かれた本を購入した。ヘンドリックスというご夫婦のアフリカの調査記録だった。

それを読んで少し笑えた。ディクディクは中央アフリカでは結構ありふれた動物でマサイ族の居住地にはゴロゴロいるらしい。

まあいいや。ディクディクは素敵だ。ディクディクは生涯一夫一妻制を貫く。そして親戚一同仲良く縄張りを守って暮らしてゆく。調べればわかるんだけど日本のどこかの動物園にいるみたいだ。

ディクディクが大好き。だけどディクディクは調子を悪くする。今日はこの辺でやめておこう。

「もう森へなんか行かない」はフランソワーズ・アルディというフランスの女性シンガーの曲だ。

この女性シンガーのことを知ったのは27歳の時。友人にCDを頂いた。この人の声いいな。「森へ」はまあ普通の曲なんだけど、この人の他の曲はだいたいアンニュイで緩くメロディがほどけている。それなのにどことなく知的でキュート。不思議な魅力。彼女は革ジャンの似合うお人形さんなのだ。

ディクディクの記憶とフランソワーズ・アルディの曲。何の関係があるのかな。アフリカはフランス領の国が多い。まさかそんなことじゃないよねえ。

そういえば埼玉時代、週に1日フランス語の教室に通っていた。

Voici venir l'automne.

秋はもうそこに来ている。

ディクディクは夜行性。

やっぱ博物館に電話で問い合わせてみようかな?