ポール・セルー(阿川弘之訳)「鉄道大バザール」

主人とふたりショートニングと黒糖でHBで焼いた食パンを齧りながら高速を走る。今日は診察日だ。セブンの珈琲が苦いのは黒糖のせいか。昨日キリマンジャロエーデルワイスという成城石井の珈琲を長女がペーパードリップで淹れてくれた。たぶんそれが美味しすぎたのだ。長女は何をやらせても器用だ。

ポタリングの帰り、美味しいと評判のパン屋に寄った。ライ麦パンは売り切れている。バケットを一本トレーに乗せてレジに並んだ。ふと見るとカウンター後ろの棚にパンの耳を数枚袋に詰めた包みが並んでいた。もたもたと財布から小銭を出しながらあのパンの耳‥‥‥と勇気を出して言ってみる。お姉さんがニッコリ微笑んで一緒に包んでくれた。

昨日は1日ただでもらったパンの耳を齧りながらずっと本を読んで過ごした。卵も牛乳も入ってる高級パンの耳は最高に旨い。かなりのパサつきだったが私は口の中の水分をめっちゃ持っていかれる食べ物を好んで食べる傾向がある。時々デカビタCなる炭酸飲料をチビチビと飲む。

自転車で6時間はかなりのダメージだった。今朝の二足歩行のなんともどかしいことか。きっと歩く時には使わない筋肉を多く動かしたのだろう。自転車から見える、そして感じる世界は刺激に満ちていた。出来るだけ車道を走ったがスピードが出ない分周囲の車の流れに乗ることは出来ず、やはり怖い。さっそくヘルメットを注文した。ヘルメット装着スタイルは車の運転手たちに私は飛ばすよ、のメッセージになると疋田智は書いている。

時々本を閉じる。ナッツを齧る。DAHONで淡路島一周。行けるか。新幹線で大阪。ジェット船で島に渡る。淡路島は昔仕事で行ったことがある。島の南側の道は崖の下を通っていた。時々高波がアスファルトを覆っていた。この道しかない、と淡路島在住の友人は笑っていた。

雪が沢山降ったようだ。鈴鹿山脈も雪を被っている。伊吹山は真っ白だ。鼠灰色の空に気高く映る。

旅行が好きだけれど飛行機はNGだ。密室、高所、轟音。何もかもが体にくる。自転車に乗って移動していると世界はたちまち広くなる。自宅の半径50kmのエリアを私はまだなにひとつ手に入れてはいないということに気づく。

ダーシー(私のDAHON)はゆっくり進む。ダーシーは慎重だ。路面の凸凹を楽しむかのよう。

今日は待合でポール・セルーを読もう。インドを抜け、極東を北上し、ロシアに入る。今日こそシベリア鉄道に乗ろう。

まあ文庫本の中でのことだが。