シナモンロールを焼きました

今日は火曜日。慌ただしく週末をやり過ごした。月曜日はパンを焼く。このところパン焼きは体系化された。週中、たいていは木曜日になるが、ライ麦パンを4本。週の始まりはベーグル又は丸パンだ。一週間で強力粉は約1キロの消費。ライ麦は500も使わない。それらのパンが尽きる感じでスコーンやらを不定期に朝作る。時々焼くHBの白胡麻全粒粉食パンが結構人気が高い。人気と言っても家族内のことだが。

ライ麦パンを食べたいという友人のために先週は多めに焼いた。美味しく焼かなきゃという緊張。こういうのもなかなか楽しい。友人が胡桃を500g程くれた。細かくして鍋で炒ってクランベリーとレーズンも入れてライ麦パンを焼く。底割れは困るから高く細く成形して温度にも気を配る。そんな時間が楽しい。きっとパンというものは誰かのために焼くものなのだ。

昨日はパン焼き日。シナモンロールを焼こうかなと言うとシナモン嫌いの長女はブーイングだが5歳は大喜び。試しにシナモンロールって知ってる?と尋ねると知らないと5歳は笑っている。パン焼きの本の写真を見せる。むつかしい顔をして見入っている。

どうしてなのかはわからないがわたしはいつも何種類かの作業を並行して進めるという癖がある。弁当作りに夢中なのもそんな理由だ。これを煮ている間にこれを千切りに、片付けをするあいだにこれを放置して寝かせておく。そんなチェーンステッチのような進み方がたまらなく好きなのだ。

シナモンロールは今まで1度も作ったことが無い。うまくいくかなあ。先週やってみようかと思いつつ何と無く気後れして花巻きにしてしまった。しかもシナモンロールをシュミレーションしながら花巻きを作るという優柔不断な感じだ。

生地を広げる。シナモンシュガーをパラパラとやるところ花巻きはオイルを伸ばす。次は発酵を見越して緩く巻きロール生地を切る、ここは一緒だ。そしていつもは生地を捻じり上げるがシナモンロール風に立てて蒸してみたりして。渦巻きの花巻きもなかなか可愛いものだ。

シナモンロールを作ろうと思うのだがやっぱり保険として、失敗した時のために人参パンを仕込んでおく。一方パラレルワールドでは胡桃パンを作る。うまく説明出来ないが人参パンの強力粉を計量後、胡桃パンも計量して加水して捏ねていくのだ。

おそらく何人もの脳内人格が同時にパンを作り始めるのでこうなってしまう。けして忙しくも慌ただしくもない。次から次へと作業が切れ間無い。リズムが生まれる。逆にそのリズム無しでは何ひとつ作れないのだ。

5歳が蒸した人参を刻んでいるのを見て言う。シナモンロールじゃないんだね。彼はわたしに似て臆病なところがあり、食べたことの無いシナモンロールを食べるよりもちょっと前に食べた人参パンを食べられるということに安心した様子だ。

人参入りの生地を加水させてまとめ放置し、細かく砕いた胡桃を炒る。胡桃を冷ましているあいだに粉等をボールにぶち込んでいるとまたまた5歳が口を挟む。胡桃パンだね。手を洗っておいで。箸使いが上手くなった5歳に胡桃パンの粉切れを任せ、冷蔵庫から元種を取り出して計量。80gを3回だ。

シナモンロールはこのレシピによれば砂糖もバターも他のパンよりは多め。それ以外は同じという感じだな。いや、卵黄?卵を入れるのか。ではケーキに近くなって行くんだね。脳内の声。

人参、胡桃、シナモンロールの順に捏ねてゆく。はい、人参完成。生地をボールにまとめてラップをして5歳に渡す。5歳は何故かパン生地を二階の窓ぎわに置いて来るという作業をやりたがる。これから発酵が始まるというその瞬間に立ち会うのが何より楽しいらしい。発酵というのはね、グルテンが繋ぎあってパンの中に目に見えない小さな泡ぶくがいっぱい出来ることだよといっぱしの説明もする。

生地を捏ねては放置、台を拭いたり流しを洗ったり、さすがに電話に出たり宅急便を受け取ったりとかは無理だがこの辺もテンポを保つのだ。DIDあるある。とにかくガチャガチャと動くのだ。

夕食後人参パンと胡桃パンを焼成したところで睡魔に襲われシナモンロールの生地は発酵半ばで冷蔵庫に。

朝。掃除をしながらも頭の中はシナモンロールである。生地は思ったよりも柔らかい。縦に立ち上がってもらうためにマフィン型に入れようか。

生地を取り出す。天然酵母のパン生地は冷蔵庫でも発酵を続ける。ボールからふわふわを天板に落とし、手で四角く伸ばした。シナモンシュガーをパラパラとやりながらまた花巻きのことを考える。花椒でこれをやったよね。甘くはなかったけど。

くるくる。

さくっ、さくっ。

渦巻きをマフィン型にそっと置く。出来上がり。1時間のベンチタイムの後に焼いて出来上がりだ。夕べ焼いた人参パンと胡桃パンをビニール袋に入れる。天然酵母パンは時間が経つと逆に柔らかくなる。乾燥させなければ3日くらいは美味しい。

6:25。ラジオ体操だ。毎日やっている。Eテレの番組だ。ピアノの伴奏がなかなかいい。先週末土曜日のピアニストは左手の音が素晴らしかった。毎日ピアノの音と共に飛んだり跳ねたり。長女もラジオ体操のころにはキッチンに居てあれこれと家事を始める。

シナモンロールどう?

5歳はなかなか食べない。早く食べてよ。5歳はむつかしい顔で一口。黙ってもう一口。もぐもぐもぐ。どうやら食べられるようだね。

今日はすごいね。パン屋みたいじゃん。パン好きの婿がはしゃいで言った。売ろうよ、これ、売ろう。

幾らで?

‥‥80円、かな。

80円?わたしはシナモンロールを食べてみた。

美味しい。

まあいいや、何円でも。