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fridayusaoのブログ〜丘の上から

統合失調症でDID、読書と音楽鑑賞の日々の徒然。

連載小説 小熊リーグ⑲

「小熊を連れてる母熊は凶暴らしいな」マスターが言った。「うん、お母さん熊は小熊を護ろうとして必死だから」咲子さんが言った。

その時だった。突然ドアがバタンと締まる大きな音がした。くるりと店の入り口の方を振り返るとそこにあるはずのカフェの扉は無く視界は靄が掛かったようで何も見えなかった。僕は心臓がドキドキし始めた。

何故だろう、ドキドキは止まらないのだ。僕は目の前のほの暗い闇の向こうを見ようと懸命に目を凝らす。そこには一枚の戸板があった。風に煽られた戸板が一瞬大きく開いて、とば口から吹き込む強い風の塊が僕の顔面を打った。僕は口を手で覆った。胸のむかつくような湿気った嫌な匂いがした。待って、待って。脳内で声がして僕は戸板から外へ出ようとして駆け出した。

強い衝撃が全身に走り、硝子の割れる大きな音がした。僕はカフェの硝子窓を全身で突き破り、テラス席のテーブルの上に突っ伏していた。

救急車だというマスターの声がした。