日本経済新聞社 米原万里「ロシアは今日も荒れ模様」

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もう日中は暑い。図書館で検索したら米原万里は沢山あったが1冊を除いてすべて閉架だ。もろもろ取り揃えて貸し出し手続きをしたのち荻巣樹徳「幻の植物を追って」をリクエストすべくカウンターのPCで検索してもらった。

近所にある分室の小さな図書館ではあるがここの図書館司書はいつも仕事が速くて的確だ。わたしは密かにカウンター内の数人の馴染みの職員たちを図書館マイスターと呼んで頼りにしている。

マイスター曰く荻巣樹徳「幻の植物を追って」は後年カラー写真等を増補した豪華本が出版されたらしい。しかもその豪華本はプレミアムが付き定価でも1万円のその荻巣樹徳の値は上がりつつあるとのこと。

〇〇さん、これ、無理かもね。マイスターはわたしに微笑む。わたしがそんなときにはなんと答えていいかがわからなくてひたすら苦笑しているとマイスターは言った。

古い方ならイケるかもな、うん、わかりました、古い方でリクエストしておきますね。マイスターは増補される前の初版の中古本であれば近隣の自治体の図書室の書庫に所蔵されているかもしれないというのだ。いいぞ、マイスター、いつもどうもありがとうございます。わたしは内心で深々と頭を下げつつ図書室を出た。

歩いてすぐのモールのスタバで休憩。昼時だがお腹が空いていないので珈琲だけを注文したがクリームビスケットはいかがですか、とスタバのお姉さんが言った。

スタバのクリームビスケットは重くて美味しい。実は先程少し悩んだのだが何故それがお姉さんに伝わってしまったのだろう。ここにもマイスターが。まあちょいちょいわたしはこの時間にここへ来てクリームビスケットと珈琲を注文してるからな。

つまさん(id:storge)に教えて貰った米原万里はロシア語の通訳である。わたしはロシアが好きである。ウォトカも飲む。わたしが若ければコツコツ金を貯めてはシベリア鉄道を西から東から、おそらくは幾度か乗っているのではないかと思う。

わたしがよく一緒に旅行する友人の親族が実はロシア人だと聞いた日からわたしは彼女を以前にも増して丁重にもてなしている。人種差別も甚だしいがそうなってしまうのだ。友人はわたしにロシア語で挨拶を発したりしてはまるで殿様のように振る舞う。

わたしには小樽出身の友人がいるが以前会ったときに彼女はロシア人が大嫌いだと言っていた。ワガママで酒飲みで嘘つきだという。実は小樽にはロシア系と朝鮮系の日本人が多いのである。

ワガママで酒飲みで嘘つきと言われるとそれはわたしのことではないかと思ってしまいそのときは益々ロシア人が好きになってしまった。

つまさんに勧められたのは米原万里の別の本だったがわたしは次々と借りてきた本を読みあさっている。

米原万里はこのエッセイの中で椎名誠を引用して、ロシアの公衆便所が不衛生であることに触れているがその椎名誠の文章が実に強力なのだ。書きだしてみよう。

「何かこの便所に特別の悪意もしくは恨みを持った一族が命懸けで攻撃を繰り返した」(新潮社 椎名誠著「ロシアにおけるニタリノフの便座について」より)。

わたしには別の年配の友人が居て、彼は商社マン時代にロシアへ何度も行っていてロシアの黒パンは世界で1番美味しいと常々言っていた。今度聞いてみるか。

ロシアの便座は汚いですか。

ロシアの人は何故汚い便座が平気なんですか。

やっぱりやめよう。ダンディな彼から汚れた便座の話はあまり聞きたくはないし、今のわたしには上品に便座の話をまとめ上げる自信がない。ダンディな友人は研究肌であるのでそののち出会うたびにロシアの便座の話を持ち出されても怖いような気がする。

パトリックが何か言っている。

ジャガイモ?

うんうん、なんだか懐かしい響きである。