講談社 荻巣樹徳「幻の植物を追って」

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出来事の記録。旅行前のことだが岐阜県のバラ園に出掛けた。その週末バラ園はイベントを開催中でモロッコブースで泥パックやアルガンオイルを買うのだという友人に乗せて行って貰えた。

バラ園の西エリアには剣弁のハイブリッドティーを産出した原種たちが系統別に植えられている。よくもそんなにバラの名前を覚えてるよな、と友人は笑うがわたしの脳の病気は忘れることこそが困難なのである。

このバラは可哀想なバラでさ‥‥。ぶつぶつ言うわたしに結局バラを貶めてんじゃないかと友人が言う。けしてそうではない。オートクチュールプレタポルテ。剣弁なバラたちは生涯華やかなドレスを脱ぐことを許されない。そんな悲哀があるのだよ。

一昨日は別の友人にご飯に呼ばれた。ニシを食べた。ニシはタニシくらいの小さなサイズの巻貝で、醤油で炊いて大皿に山盛りのニシを我々は無言で食べ続けた。わたしはビールを少し飲んだだけだったがワインや焼酎を次々飲んだ主人は気分が悪くなり翌日はきっちり二日酔いだった。

神戸に行く途中の大津SAで婿がへしこを買った。美味しかったのでわたしは神戸のスーパーで一枚買い、四国移動中もわたしはへしこを持ち歩いていた。そんな話をしたら友人がすぐに食べられるように細かく刻んでタッパーに入れてあるへしこを冷蔵庫から取り出して見せてくれた。友人は金沢の出身だったのだ。

日曜日、二日酔いの主人を放置して若い友人と約束してお出掛け。四国行って来たよと乾燥天草を出すと友人はわあと歓声を上げた。これで何つくるの、とわたしが尋ねるとそりゃ心太(ところてん)でしょうと言う。

友人の車でいつもの木工教室のアトリエショップへ行く。若い女性のオーナーさんに四国行って来たよと乾燥天草を一袋手渡す。しげしげと見入っているオーナーさんにこれで何つくるの、と尋ねたら心太ですかね、と言った。友人とオーナーさんが、でも心太突きが無いよねなどとミーティングをしていた。

夕方、二日酔いがすっかり失せてしつこく空腹を訴える主人にニトスキでステーキを焼いた。オージービーフのブロック肉が半額になっていた。繊維を切る感じに1㎝くらいにスライスして焼いてみたが程良く硬くて美味である。収穫したてのニンニクをすりおろして醤油で食べた。

荻巣樹徳をちびちびと読む。

荻巣樹徳は鈴木省三とも仲良しだった。

「フランスで作り出されたバラにはフランス語で、ドイツで作られたバラにはドイツ語で語りかけなさい」荻巣樹徳は鈴木氏のこの言葉を座右の銘のひとつとしているとありわたしはなんだか切なくなった。

荻巣さん〜今はどこでどんな植物を追っかけてんですか〜。(荻巣樹徳の追っかけとなりつつあるわたし)