診察日はコストコの日である。お盆休み&夏休みでコスは平日の夕方なのに結構混んでいた。
今日のお買い物はまずトルティーヤだ。トルティーヤへ速攻だ。40枚。多い。しかも要冷凍。一瞬ためらうもお買い上げ。
次は牛肉を2㎏。ドイチェランドのズッペのなんやかんやに必要なのだ。見ると夫が海老海老と控えめながら主張しているのでブラックタイガーをGET。夫は海老を殻ごと蒸篭で蒸しただけの一品が好きだ。わたしも極めて簡単なこの時短メニューが大好きだ。
瓶のウィルキンソンがケースで売っている。あー欲しいなあ。とても欲しいとき、そのときそれは買わない。よくわからないがわたしはいつもそうなのだ。
発達障害だよわたし、え、知らなかった?買い物を終えてフードコートで夫とホットドッグを食べながらなんやかんや話す。
脳内の集中力が制御不能、でも今熊を止めたとしてもまた別の何かに熱中するだけのこと、活動過多の脳を穏やかにする薬もあるけれど効くかどうかの保証はない。わたしは今日のなぎら情報の詳細をかいつまんで夫に報告した。
それでわたし薬要らないって断ったんだよね。だってわたし会社に勤めているわけじゃないし、子育て中でもないからさ、ちょいちょい日常が破綻したとしても誰にも迷惑かけない、だから薬で抑える必要ないって思ってさ。
一瞬夫の動きが止まった。
BOOHが言ったんだよね。浮かれ気分のとき、わたしはなぎら健壱似の主治医のことをBOOHと呼ぶ。彼は熊のBOOHさんなのである。
貴女の活動過多の脳みそを薬で抑えると‥‥。抑えると?夫が少し喰い気味に言った。
薬で抑えるときっと思考が平板になって、まあなんていうか”凡人”になるって。あなたほら凡人と暮らすの詰まんないでしょ。夫は小さく何度も頷いて食べかけのホットドッグを見た。
帰りの車中はもうずっとジプシー音楽だ。あなたのクリエイティブなパッションが失われるのはどうかなと俺は思う。BOOHのこの言葉が嬉しかった。何度も脳内で再生する。
ジプシーたちのバイオリンやギターの音が東西南北へと境界を越え飛び散っていった。