2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョイス「星に願いを」

銀行で住所変更の手続きをした。引越ししたのは11月だから随分怠けていたものだ。 うちの近所のとある地方都市銀行のとある支店のごく普通の窓口が鬼門だ。 前回の住所変更手続きの際、職員の勧めに乗せられるままに静脈認証の登録をしたのだが、装置に何か…

新潮文庫 山本周五郎「むかしも今も」

法界屋という旅芸人についての小説は皆川博子のものだったかもしれない。今は持ってはいない。さのさ節だ。さのさが先で小説は後だ。わたしがさのさをひとり口ずさんでいたのは幼児のことだ。さのさ懐かしい。 とても若い時に皆川博子を夢中で読んでいた。江…

ビックス・バイダーベック「シンギン・ザ・ブルース」

火鉢を貰った。真鍮製。灰も炭も入ったままだった。早速こちらは趣味でただ大事にして飾っていただけの錆びた五徳をセットしてみた。素晴らしい。五徳が悦に入るようではないか。 お気に入りの木製の長火鉢の斜め前に置いてみる。うーん。やっぱり少し離す。…

LUNCH BOX

鳥羽一郎の「兄弟船」を聴く。JPOPなら何でも好きというわけではないのと同様に全ての演歌が名曲というわけではない。それにしてもどうして最近演歌を口ずさむのか。これらの演歌たちはいつ何処で脳内に入力されたのだろうか。 「兄弟船」の兄と弟は父親の形…

角川文庫 「シベリア鉄道9400キロ」

TSUTAYAで借りたオフロスキーのDVDを見る。オフロスキーはNHKの「みいつけた」のパーソナリティだ。福山雅治を韓流デビューさせたような雰囲気がある。目鼻立ちの整った二枚目だ。「呼んだ?」と微笑んでバスタブから出てくる。オフロスキーはお風呂好き、プ…

林弘子「水と小麦だけのパン種でつくる酵母パン」

薬念と書いてヤンニョムと読む。ものすごく久しぶりにヤンニョムを作った。白葱を茶碗一杯山盛りに刻み醤油をひたひたにする。すりごまをちょっと多いなというくらい入れて混ぜる。粉唐辛子もティースプーンではらはら、しっかり混ざった処へ胡麻油を垂らす…

小説 丘の上から 冬の章 4

遠くでピアノがなっている。リズミカル。登ったり降りたりするメロディ。今何番だ?わからない。美しく透明な響き。パトリックがエルと連れ立って丘を降りてゆく。僕はパトリックのコートの右ポケットに体をすっぽりとうずめ、一生懸命にピアノの音に耳を澄…

ドゥルセ・デ・レーチェ(ミルクジャム)

TSUTAYAへ行った。少し前から観たいものがあった。先ずは5歳のリクエスト「バグズライフ」。ところが「バグズライフ」はブルーレイしかない。私はカウンターへ行った。 店内には「バグズライフ」はブルーレイしかないらしい。取り寄せますか?ときかれる。い…

誠文堂新光社「シャルキュティエのソーセージレシピ」

シャルは肉、キュイは加熱。パテ、ソーセージ、リエットなどの食肉加工品をシャルキュトリーと呼ぶ。シャルキュティエとはそれらお肉の何かの職人さんを指す。家畜をさばく。端肉や内臓などを加工したことからそもそもは始まった。 この本は去年の秋に出たば…

米沢亜衣「イタリア料理の本」

うずら豆を煮ると面白いあの模様は消えてしまう。夕方電車に乗り図書館へ。書庫の米沢亜衣「イタリア料理の本」を借りた。ホームでしゃがみこみパラパラ眺める。 生パスタが作りたい。手作りの生パスタの作りたては本当に美味しい。粉に水を注ぐ、捏ねる、そ…

真島昌利「アンダルシアに憧れて」

沖縄から帰った親戚がウォーターケフィアグレインを持ち帰ってきた。もち米のお粥のような半透明な粒つぶが小さなジャムの瓶の水道水に浸されている。呼吸するらしいよ、キッチンペーパーを頂戴。親戚が指示するままにとりあえず蓋をして冷蔵庫に納めた。 夜…

ザ・ブルーハーツ「泣かないで恋人よ」

ハンフリー・ボガートはハメットの「マルタの鷹」のサム・スペードだが、私の脳内のフィリップ・マーロウはハンフリー・ボガートだ。 「長いお別れ」を手に取る。好きな場面を飛び飛びで読む。留置所から出たマーロウがロニー・モーガンに車で送ってもらうシ…

講談社学術文庫 舟田詠子「パンの文化史」

内田洋子の本は装丁がいい。単行本は表紙が固いので苦手だが「ジーノの家」の扉は美しい。淡いアサギ色。真ん中あたりに明朝体で題字。 アサギ色が好きだ。3月に藍の種を播く。夏至のころ生葉が沢山出ると摘み取りミキサーにかけて絹や麻を染める。日光で退…

ポール・セルー(阿川弘之訳)「鉄道大バザール」

主人とふたりショートニングと黒糖でHBで焼いた食パンを齧りながら高速を走る。今日は診察日だ。セブンの珈琲が苦いのは黒糖のせいか。昨日キリマンジャロエーデルワイスという成城石井の珈琲を長女がペーパードリップで淹れてくれた。たぶんそれが美味しす…

マガジンハウス 疋田智「ものぐさ自転車の快楽」

若い時、二十歳のころ、どうしても欲しいものが幾つかあった。イッセイ三宅の新作Tシャツ、レイモンド・チャンドラーを全部、モンブランの万年筆。だけど1番欲しかったのはひとりの時間だった。それでバイト先と両親、東西南北から嫌われ者になって休暇を取…

DAHON Boardwalk D7

重い。猫が一匹布団に乗っている。こいつはメーンクーンという大きい猫のMIXで体重が最近6キロを超えた。ニャー。いちおう挨拶してから布団に入ってくる。今度は腕が重い。生意気に腕枕で寝てるよ。 Boardwalk D7は自転車だ。生まれてこのかたこんな小洒落た…

文化出版局「プーさんのお料理読本」「プー横丁のお料理読本」

小川未明という作家がいる。「赤いろうそくと人魚」は有名だ。人間の欲望と異端を排除する集団心理。小川未明は日本のアンデルセンなどとほのぼのと評されているが否、風刺と批判に富んだ一刻な作家である。全く個人的な好みだが私は小川未明は苦手である。 …

マレフィセント〜sleeping beauty

愛知高速交通東部丘陵線。駅は9駅ある。八草から乗って藤ケ丘で終わる。通称リニモ。常電導吸引型HSST、磁気浮上式鉄道。つまりレールの上を車両が少しばかり浮かんだ状態で進んでゆく。 しかしながらじっさい浮かんでいるというわけではないようだ。横方向…

小説 丘の上から 冬の章 3

ルイゼッタは生成りの麻布に包まれていた。麻布が解かれ中から金属製の四角いものが現れた。僕は近づいてしげしげと眺めた。精巧に造られた何かの部品の様にも見える。 「この娘生きてるの?」ローザが言った。 「大丈夫。ほら、ここからブルブル小さいけど…