連載小説 小熊リーグ③

光盛医師を除いて、僕は脳内にクマが棲むことを誰にも言わないでいようと決めた。精神科医として平たく言ってこれは幻覚と幻聴という症状だ。光盛医師も同意見だった。 「君がたとえ何か脳の病気を発症していたとしてもそんなにがっくりしてはいけない。僕の…

木彫り熊紀行⑧僕はきっと旅に出る

スピッツ「僕はきっと旅に出る」を聴きながら。 http://youtu.be/oouh285dbFk ここ数日頭の中が整理がつかない。整理をつけるのはわたし自身の仕事であると、繰り返し繰り返し唱えては目を閉じる。 何が見える。深呼吸。 わたしは木彫り熊に惹かれた。 きっ…

くまのプーさん展に行ってきました

金曜日。長女と5歳と電車でくまのプーさん展に行った。片付けをしていたら長女が突然行くと言い出した。弁当持ちで電車に乗った。 美術館にはくまのプーさんマニアの女の子たちとなぜか年配の婦人が多かった。壁一面のプーさんの世界。婦人たちは興奮して蜂…

「幻の植物を追って」荻巣 樹徳

荻須樹徳の本を図書館に借りに来た。検索。該当無し。おかしいな。この本は買った記憶はない。いつ何処で借りたんだろう。覚えていない。これまでに引越した先の何処かの図書館か。 彼は自治体やクライアントに依頼されての調査は一切しない。自分のお金で行…

診察日(2015年7月)

診察で宇治拾遺物語について話す。宇治拾遺物語とは鎌倉時代前期に書かれた作品集である。第七巻の一に『五色の鹿の事』という話があるが、今日はその鹿の話を始めないことには何も始まらない。 小学3年生。国語の教科書にこのお話が載っていた。挿絵もはっ…

ポプラ社「きゅうり好きのきゅうりの食べかた」

朝食を朝5時に摂るので10時ごろにはお腹が空いてしまう。ところで夫はまた会社を辞めてしまった。そしてそれを言い出せずにいてがさがさと早朝活動するわたしの背後でうろうろ。結婚して30年。親と居た時間より長く過ごしてきたからこの人の考えてることは割…

岩波書店「クマのプーさん全集」

転職した夫が朝5時半に弁当を持って出勤することになりわたしは4時にはYouTubeを聴きながら弁当を作っている。最近はライブ映像ばかり聴いている。こんなにもスキマスイッチを気に入っているのはピタゴラスイッチと名前が似ているからかもしれない。今朝も元…

木彫り熊紀行⑦ペザントアート

図書館でペザントアートの本が一冊だけあった。日本のペザントアート界の第一人者と言われる林二郎著文化出版局「木彫と木工」である。ペザントアートとは農村美術のことである。 「木彫と木工」は良い本である。ペザント椅子という椅子があることをはじめて…

山里稔「北海道 木彫り熊の考察」

元気になった主人が部屋の模様替えをしている。ビーバーはダムをつくる。彼は模様替えをする。ひとたび始まった夫の模様替えを何を持ってしても止められはしないのだ。わたしの本、CD等の私物は浜辺に打ち寄せられた屑のように部屋の一角に集められて放置さ…

山崎まさよし / One more time,One more chance

今朝は稲荷寿司を作る。揚げは昨日の夕方に煮てあるからあとは酢飯を詰めるだけなんだけどなんとなくいつも通り5時前に起きて箒と塵取りを持ってうろうろ。 昨日友人に熊について話す。友人というのは主人の友人なのだがわたしの妙ちきりんな熊理論をふんふ…

木彫り熊紀行⑥在野であるということ

禁中並公家諸法度は、徳川家康が金地院崇伝に命じて起草させた法令である。天皇はこの時から傀儡なる神とならされるがそれは果たして上手く行ったのだろうか。神格化した何かを引きずり下ろすことはそれほど簡単か。高めたり低めたりと人間の権力は揺れ動き…

木彫り熊紀行⑤〜クマのプーさん

今日は朝から一人で留守番なのでいろいろとやってみるが、とりあえずふらふらと庭を歩いた。狭い庭だが好きな植物をちょいちょい植えている。斑入りの垣通し。本当の名前はわからない。菊型で抜いた小さめのビスケットみたいな葉っぱが可愛くてとにかく眺め…