角川文庫 「シベリア鉄道9400キロ」

TSUTAYAで借りたオフロスキーのDVDを見る。オフロスキーはNHKの「みいつけた」のパーソナリティだ。福山雅治を韓流デビューさせたような雰囲気がある。目鼻立ちの整った二枚目だ。「呼んだ?」と微笑んでバスタブから出てくる。オフロスキーはお風呂好き、プッ。あかん、笑ってしもたわ。

みんな元気?オフロスキーは子供たちを気遣う。あれ、これ、ミル姉さんじゃん。私が言うとオフロスキーファンの長女が怒った。どうやらお笑いとは一線を画しているという位置づけだ。何しろNHKだからな。そうか。笑ったら負けだな。

オフロスキーは作詞作曲振り付けもする。歌って踊れる中年男性だ。牛の着ぐるみはピンク。いやいやNHKもどうかしてるわ。私は嘆きつつも次第にオフロスキーの話術に絡めとられていく。

数日前に三谷幸喜の「清須会議」を観た。大好きな大泉洋豊臣秀吉役で出ていた。豊臣秀吉は猿と呼ばれた。じっくり観た。じっくり見過ぎて頭が疲れた。

ここ数日色々あった。

疲れが溜まって体調がすぐれない。

元来からだは丈夫なはずだが15年前には肝内胆管の難病だと言われたり、他にも自己免疫関連の難病のビッグネームを幾つか持っている。そんなものはなんの役にもたたない。血液数値はなんとも言えずいつも酷い。抗核抗体の陽性とアルフォス高値。これってみんなDIDのせいじゃないかな、と私なりにはすでに仮説を立ててあり、若干論文仕立ての文章を書いたりしたこともある。医者でもあるまいし論文などには関心はなかったけれど、関東にいた時の内科の主治医にとにかく情報のアップデイトを勧められ、こつこつメモ書きを作った。現実には画像データも要るからそんな話を病院でしてるとじゃあ入院検査という流れになる。この繰り返しだ。

今朝からずっと腹が痛い。

素人判断だがこの症状には馴染みがある。たぶんちょっとした膵液分泌異常を起こしているのだろう。胃に何か入ると痛い。この際は絶食しかない。絶食療法もやったことがある。2週間何も食べず、某社のサプリメントで過ごした。胃腸を休めるのは効果がある。その時はそれで治った。

それにしても痛い。そんな時のための頓服を飲む。胃腸の動きを緩やかにする薬だから沢山のむと低血圧になる。あと2錠ある。運悪く行きつけの内科は今日は休診日だ。とりあえず今日食べなければいい。

大丈夫大丈夫。

大丈夫というのはオフロスキーの口癖。

DVDのオフロスキーは家族全員の靴をカウンターに立ててみるという実験をしている。気を鎮めればお父さんの革靴だってほら、立つよ。おお〜オフロスキーってすごいな。

横になり本を読む。

「シベリア鉄道9400キロ」は近所のBOOKOFFで108円だった。こんないい本が108円なんて。それでいいのか。私はそう思っているが時々私の本棚のお気に入りの本が108円でBOOKOFFにあったりする。だから自分の本のチョイスには自信がある。良い本ほど沢山印刷するものだ。ボロボロは熟読の証しなのだ。わたしは今のこのご時世でボロボロの文庫本に値が付くこと自体がすごいことだと思うのだ。

宮脇俊三はシベリア鉄道の食堂車でロシアの黒パンをこれでもかと食べる。友人に海外各地に滞在したという男性がいていつか彼にこのシベリア鉄道の食堂車の黒パンの話をしたら彼もロシアの黒パンは世界一旨いと言っていた。まあきっと普通のライ麦パンだと思うけどドイツのものよりは軽めだそうだ。

宮脇俊三は本の中でこの黒パンは次第に美味くなる、美味いと感じられるようになる、と書いている。そこが気になる。田中りえも黒パンがだんだん好きになるシベリア鉄道の食堂車の不思議について書いている。旨いのはパンではなく鉄道のせいなのだ。きっとそうなのだな。

ねえ、オフロスキーはどう思う?

オフロスキーは結構必死で仕事中だよ。

絶食して調子良くなったらまず何を食べようかな。タッコムタンだな。タッコムタンというのは韓国の鶏のスープ。葱を浮かべてさ。ニンニクも黒胡椒も無しがいい。塩味のみの透明なスープ。

子ども時代をぼんやりと思い浮かべていたらオフロスキーに似た親戚のお兄さんが近所に居たことをふと思い出した。長女に話すと早速長女は浮かれている。そうそう居たんだよ、長屋でさ、隣の隣のうちに住んでた。酷いチンピラだったなあ。

ロシアの黒パンは薄切りで乾いていて、皿にドッサリ載せられて供されるようだ。

いいな。

明日病院行こ。薬貰ってこよう。それからのんびりタッコムタンを作ろう。