Plein Sleil - Nino Rota

昨日友人の紹介でタイから出稼ぎに来ている若い男性と会った。チェンマイの北、チェンラーイから来ている彼の趣味はなんとお料理。友人曰く台所ピッカピカだからね〜。タイイサーン地方の発酵生ソーセージネームについて尋ねたところ顔をほころばせ日本語で「おいしよね〜」。わたしがまだ食べたことがないのよと嘆くと「先週つくたよ!」。どうやら日本でも仕込めるようである。

帰り道友人が言う。なんで腐らないの?いや腐ってんの。え?お腹こわさないの?なんで?友人のはてなは止まらない。わたしはひとりほくそ笑む。

今日は朝いちでポット苗の準備。ズッキーニ、カボチャ、唐辛子、エゴマ。遅れ遅れだが先週は冷え込んだから遅れて丁度良かった感がある。コリアンダーとパセリは少しは庭にあってもいいかな。タイムの種を長女がかなりおおらかにあちこちに蒔いてしまった。タイムを庭に作ると厄介だ。奴らは広がる。とにかく広がる。

種蒔きをしながら思い返す。そういえば昨日会ったタイの男性ハンサムだったな。両目の黒目の並びが厳しく整っていた。若い時のアラン・ドロンを思わせる、辺りを一瞬無酸素状態にしてしまうアシンメトリーな口角。硬質な笑顔。ああいう顔は人種云々ではない。何百人にひとりの割合で必ずいるのだ。

アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」は99年にマット・デイモンの主演でリメイクされた。観てみたいな。TSUTAYAにあるかな。マット・デイモン

太陽がいっぱい」を初めて観たのは小学3年の時だ。白黒だった。テレビだった。怖い話だった。アラン・ドロン顔がトラウマになった程だ。

わたしが二十歳のある日、大学のクラスメートがわたしに近づいてきて言った。

「おい、お前昨日ヘラルドに行っただろ」

ヘラルドというのは映画館のことだ。

「行ってないよ」

「なんで隠すんだよ。お前にそっくりのやつ俺見たんだよ。俺が声掛けたらお前すげー怖い顔して俺のこと無視しただろ。おい、なんなんだよ、おい、怒るなよ」

当時覚えの無い場所と日時にわたしを目撃したという情報はそれが2回目だった。

ドッペルゲンガー

怖い物好き、映画好きの友人がそう言って笑った。

DIDだ。そうだったのか。大丈夫だったのか。まあ指名手配されてはいないからその辺はオッケーだったのかな。

種を蒔く。土を掛けると種は消える。

DIDは土を掛けた種のようだ。知らぬ間に芽吹いてここだよ、ここにいるよと声を上げる。

太陽がいっぱい」はやはり原作を読むべし。

土を掛けながらそんなことを考えた。