北山修・加藤和彦〜白い色は恋人の色

連休を利用して沖縄の友人が来日した。沖縄はもちろん今は日本国だが何処か日本人らしくない彼女の来訪には来日という言葉がよく似合う。レンタカーを借りて海へ。

高速は事故渋滞。三女の婿の友人が運転するプリウスは乗り心地が良い。車中は馬鹿ばなしで盛り上がる。もうなぎら健壱のウンチクはやめろと友人にきれられる。いやフォークソングっていうのはさ。わたしは止まらない。

高速を出てひたすら南下。海へ出た。

広い。果てし無く続く浜。何十人ものサーファーたち。等間隔でプカプカ。馬鹿ばなしも止まる。わたしたちはサーファーたちに釘付けとなる。

この浜は友人の青春時代の思い出の浜だ。

そこそこ満車の駐車場をぐるぐるして空きをGET。食堂はオープンテラスだ。大アサリ、生牡蠣、刺身定食には生しらすがサービスで付いていた。運転手の彼が生ビールを注文。待ってよ、帰りは誰が運転するの?いいよ。飲みなよ。沖縄の友人が言う。

ほろ酔いで浜を歩く。

貴女がいつか話してくれた〜。わたしは早速替え歌作り。

しらす〜付いてる〜刺身〜定食〜。フォーククルセイダーズ岬めぐりをサビを熱唱。いや、これは山本コータローだったっけ。

フォークソングいいよね。友人が言う。

荒ぶる波が大きな音を立てて打ち寄せる。三女と婿は服のまま海に走る。わたしもつられて走った。あっという間ふともも辺りまで水に浸かる。冷たい。濡れたジーンズが張り付いてもう足が一歩も出せない。これ以上いったら溺れるかも。わたしは止まった。

びしょ濡れのわたしたちは岬を目指して歩いた。どうしたの、ママ、行かないの?わたしは途中立ち止まり浜を見下ろした。遠く水平線を眺めていた。行かない、ここで待ってる。わたしはひとり海を見たかったのだ。

帰り道、早朝こしらえた稲荷寿司をプリウスの中でぱくぱく。ガリは?忘れた。ガリって必要だよね。ガリ食べたい。ガリだけ買う?うるさいよ、ガリガリうるさいよ。

心地よい馬鹿ばなしの中あっという間わたしは眠りに落ちた。海の帰りはラーメンだな。友人の声で目覚めた。

辛いラーメンを疲れた体にぶち込んで帰宅。写真を整理する。三女と婿が手を繋ぎ浜を歩いていた。

白い色は恋人の色。フィンガーピッキングが聴きたくてYouTubeで探す。

友人は一週間の滞在だ。明日は明け方の散歩をしようか。

砕ける波の轟音が脳内で鳴り響いていた。