スキマスイッチ「ドーシタトースター」

今日はひとりで留守番。長女は5歳を連れてママ友と出掛けた。一旦落ち着こう。とりあえず5歳は居ない。映画を観るか。「容疑者室井」「クライマーズハイ」「レインマン」「もののけ姫」。観たいことは観たいんだけど持ってるDVDだとかなり限定されるや。TSUTAYA行っとけば良かったよ。

 雨降って来たらアウトだから自転車で出かけるってわけにもいかない。

 ポートワインなるものを先ほどからリサーチしている。なるほど。友人宅でポートワインを飲んだ。甘い赤い高級なお酒だ。友人は貴腐ワインも持っていた。30代独身女子。

 わたしには若い友人がふたりいる。どちらも曲者系のツワモノ系。そしてわたしは別べつに会っていたのだがこの度はなんやかんやで3人で酒を飲むことになった。場所は少し年上の方の若い友人の一人暮らしの部屋。近所の実家暮らしの若い友人を主人の車で拾って行く約束だ。

 女子会なので主人は帰って行ってしまった。もう50を過ぎて老化による早朝覚醒に悩む一匹狼(わたしのことです)が加わり3人で酒を飲み始めた。

 わたしは電気ブランを出し、実家暮らしはスパークリング清酒なる爽やかな飲み物を出す。まあ、こっちから、とシュワシュワする日本酒を飲みつつあれこれと話が弾む。

 実家暮らしはうちの庭のパクチーを当てにしてヤムウンセンを持って来たのだが数日前に庭のパクチーはわたしが食べ尽くしていてパクチー無しの涼しげなヤムウンセンをすーと出す。

スパークリング清酒は瞬きする間に無くなって次は銀河高原ビールチルドビール久しぶり。冷え過ぎだよ。なんて今夜は言わない言わない。若い人たちの会話をひたすら聴く。嫌われたくないからな。

 一人暮らしがキッチンから人参サラダを持ってくる。クミンだ。生野菜の盛り合わせがどんと出る。彼女はヴィーガンなのだ。茄子の揚げ浸し。炊き込みご飯。次々と出る。何もかもが美味しい。きみはひょっとしてわたしのお母さんなのか?

 一方実家暮らしのペースが速い。そして食べないで飲むタイプ。飲むねえ。少しの沈黙があり話を切り出す順番がわたしに回ってきたのだがあろうことかもう7時を過ぎている。

 眠い。

 とりあえず鉄板ネタなぎら健壱のギターは素晴らしいの巻。一匹狼たちのブーイングが聴こえる。無いわー、無いわーの声。

 眠い上になぎら健壱を全く認めない状況が気に入らない。若い年上の方の一匹狼があれ見せてよと促した。わたしは自作自演のウクレレ動画を出す。本当はウクレレ持参の予定だったのだが楽器禁止のアパートでダメになったのだ。

 「リンダリンダ」。一匹狼たちシーンとしている。どうやら「リンダリンダ」に馴染みが無いらしい。

 もういいよ。寝るからさ。

 その時だ。ポートワインなるものが登場。ヴィーガンのはずなのにワインに夢中とな。うーん。金の力。

 甘い。そして濃い。

 年下が言う。ねぇ電気ブランも開けようよ。

 なにこれ、病院のアルコールの味。あかん感じだよ。すごい偽物っぽい。

 もういいよ。寝るから。

 その夜年下の一匹狼はヘンテコなスカートをはいていた。インドネシアの巻きスカートを巻くのが面倒臭いという理由でミシンで縫い合わせウエストはゴム。

 巻こうよ〜、これ巻こうよ〜。フィリピン、マレーシア、タイ等アジア旅行が趣味という年上の一匹狼は食いついた。

 年下は笑う、んふふふ。笑ってる。おお、笑った顔あんま見たことないよ。おいおい電気ブラン飲み過ぎだよ。

 わたしは朦朧となりながらもYouTubeなぎら健壱の動画を見せる。またしてもシーン。いや逆にこれいいかも。若干酔い覚めるかも。

 聞いていい?

 なぎら健壱の何処がいいの?

 は?

 わたしはもう横に成りたくてフラフラだったのだがここはきちんと抑えねばならぬ。よいしょと身体を起こして言った。

 熊、だからよ。

 シーン。

 おやすみなさい〜。

 やっぱ動画、スキマスイッチにすれば良かったかな〜。