学研「日本の家畜・家禽」

学研「日本の家畜・家禽」を図書館で借りた。夢中で見ている。裏表紙に可愛らしい山羊が付いている。一瞬これは手描きの絵だろうかと思ったら写真だった。

 与那国島の在来山羊。鹿児島県トカラ列島のトカラ山羊が与那国島へ来て自然交配して出来た雑種のようだ。

  黒と茶と白。茶色は赤っぽい明るい茶色。この山羊の背中はこれら三色の長い毛で覆われていて、腹とおでこと胸は白抜けし、足先は四つとも黒い。この動物を可愛らしくさせているデザインの決め手は顔の大きいことだ。そして長いあごひげとまるでオールバックに撫でつけたかのようなカーブを描いて波打つ二本の長い角。

 時々羊にも角があるものがいるがあごひげは山羊にしかない。

 わたしは牛のページをぱらぱらとやり、ヤクを探す。あった。ヤクが好きだ。どこかのエッセイで正田陽一がヤクをすごく褒めていた。肉を食べられること、乳を摂れること、毛を刈れること、荷物を持ってくれること、これら四つは家畜が人に有益である大きな要素であるがヤクがこれを全てクリアしていること、そして愛玩動物としても素晴らしいとヤクを褒めていた。

 ヤクの毛の配色とこのトカラ山羊の毛の配色はすごく似ているように思える。もしもこの2種類の家畜を草原で引き合わせたら彼らはなんと言うだろう。

 あたしたち似てるね。

 うん、似てるね。

 10年ほど前、兎を繁殖させていた時にも時々こんな配色の兎が生まれた。お母さん兎は黒でお父さん兎は茶色だった。わたしが印刷の失敗みたいだね、と言うと主人は失敗?と笑った。わたしは毛の色が何色でもどの子兎もほんとうに可愛いと思っていたがこの配色の兎は正直特別に可愛いと思っていた。だから他の子兎たちが妬むように思えて敢えて失敗などと言ったのだ。

 先日頭の調子が悪くて図書館で借りた本が読めなくなるという症状に苦しんだ。雨が続き、湿気で借りた本のページがひどくうねっているように思えたのだ。実際閉架図書を湿気に晒すとあっという間にページがうねってしまうことがある。雨降りが続くのはわたしのせいではない。しかし現実にページをうねらせたのはわたしなのではないか。雨降りの日の図書館利用を今後どうしたらいいのだろう。

 わたしの仲の良いトーシツ患者仲間のひとりは向かいの家のご主人さんが悪いことを考えているように思えて仕方ない。時々警察に電話してしまうので先日とうとう管轄内の困った人リストに載せられてしまったらしい。まあ笑い事ではないが。

 わたしはページのうねりが気になって収まらない。やはり病気である。とうとう図書館に電話をかけた。電話口で丁寧に心の悩みを相談し、ページのうねりと湿気に付いて話せば話すほど自分が図書館の人から変な人だと思われているようだという確信は強まる。図書館の人は親切だった。わたしも気持ちスッキリした。でもリストに載せられたな。間違いない。

 高額図書を禁帯出にするのはこれら貸し出しトラブルを避けるためかもしれない。電話を切ってわたしは思った。

 正田陽一の「世界家畜品種事典」は2万円もする。たいていの図書館でこの本は禁帯出である。この学研の図鑑は三千円。しかも紙質は柔らかくて厚いので丈夫。沢山借りられているのか既に若干ぼろぼろだ。こんな素敵な図鑑があるなんて知らなかった。「世界家畜品種事典」のコピーをどれだけ撮っただろうか。

 わたしはスコットランドのチェビオットという羊が大好きで、何冊かの図鑑をコピーしてあるが暇な時はこの羊の写真を見ながらデッサンを描いたりもする。

 上手く言えない。

 チェビオットは可愛い。

 一刻で融通が効かず飼い主をたまに困らせる。そしてそんな態度をとってしまったことを反省して良い子になろうとするのだがそれもまた器用には出来ない。

 悪かったさ。

 ごめんよ。

 写真で見るチェビオット種はそんな顔、そんな佇まいをしている。

 ‥‥ような気がする。

 この本は買ってもいいな。いや買うべきだ。わたしは広大な牧草地を維持管理してこれら家畜と親しみ過ごすことなどは出来ない。写真って便利。図鑑って素晴らしい。

 北海道行ったら牧場を訪ねよう。

 写真で予習をして、実際に会う。

 てか病気。誰か教えてください。なんでこんなに動物が好きなのか。しかも家畜限定だし。

 DIDあるあるなのか。DIDは家畜に取り憑かれる?そんなデータどこかにありますかね。