大島日出生「青年舎」

何日か前、コストコへ行く途中の高速で警察に捕まった。後部座席のわたしがシートベルトをしていなかった。運転していた三女の婿は減点。罰金は無かったけれどシートベルトしてね、っていつもあれ程言ってるのにと後で長女にめちゃくちゃ叱られた。

 

お詫びに三女夫婦に明太パークで明太ソフトと明太肉まんを奢る。試食の明太子の一口が大きくて旨い。空いていたので3回食べた。ご飯とか全然いらない感じ。爽やかだししょっぱくないし。本物の明太子ってこんなに美味しいのか。

 

施設内で氷川きよし「僕のめんたいこ」が流れていた。こんなにも元気良く、そして艶やかないい声で明太子明太子と繰り返し歌い上げる。僕のめんたいこ、つぶつぶ弾けて、お口の中からこんにちは。まあなんて素晴らしいの。

 

コストコの店内を歩きながらYouTube氷川きよし「僕のめんたいこ」をイヤホンで聴く。「僕のめんたいこ」メイキングもあった。おお、踊ってるよ。明太子が美味しいと氷川きよしが踊って歌ってる。こりゃ感動だ。

 

氷川きよしEテレでお子様向けにこの「僕のめんたいこ」を歌ってもいいんじゃないかな。明太子の歌詞を差し替えて替え歌も作れそうだ。僕のハンバーグ。僕のサンドイッチ。絶対明太子より一般的な歌が出来そうだよね。

 

果物売り場。コストコはちょっと珍しい果物があるのが面白い。

 

茶色い、丸いマンゴスチンをジーと見ていたら、俺はもうマンゴスチンは喰い飽きたと見知らぬおじいさんが隣へやって来て呟いた。

 

へぇ、おじいさん、マンゴスチン喰い飽きるほど食べたの?おじいさんは無言で立ち去った。わたしはマンゴスチンを衝動買いした。コストコはああいう商法なのかもしれないな。

 

おもちゃコーナーで「テッド」のDVDが800円で売っていた。クマのぬいぐるみが喋る映画だ。先日三女の家で観たはずなのにストーリーを全く思い出せない。人格がスイッチしていたようだ。

 

結局「テッド」は買わずに返した。スイッチング等は全く楽しい記憶とはならないのだ。覚えていないという事実を家族が知ってがっかりさせるのもまた辛い。

 

帰りの高速が空いていて気持ち良い。滑るように走る。西へ西へ。道路は緩やかな弧を描く。今度は北へ。まるでレース。え、もしかして、やだ、あたしまたシートベルトしてないよ〜。黙ってそーっとこっそりカチャン。忘れてた〜怖い怖い。

 

昨日から大島日出生「青年舎」を読んでいる。

 

どうやら大変な本に手を付けた。

 

氷川きよしのあの明太子の歌声がかえって悲しく脳内でリフレインした。親元を離れて北国へと汽船を乗り継ぐ子どもたち。

 

夕方涼しくなったので主人とふたり近所を自転車でポタリング

 

日没後の車道を幾つものテールランプが続けさま流れていく。

 

わたしは自転車を停めた。後ろを振り返る。暗闇。耐えられないほどの寂しさがわたしの近くに来ているように思えた。

 

しかし診察までまだ日数がある。

 

もう少しだ。

 

もう少し頑張らねばならない。