足場解体作業を手伝いました

万葉集には秋の七草の名称だけを並べたという珍しい一首があるという。江戸時代には貧しい庶民までもが草木を愛でた。遺伝学など知りようもない園芸職人たちが朝顔の品種改良をした。

涼しくなったので散歩。道路の脇、公園。草の名前を思い出したくてちくま新書 柳宗民「日本の花」を読んでいる。

昨日は一日中建設現場で外壁塗装の修復作業をした。友人はわたしのことを『現場萌え』というが、わたしは現場が大好物だ。各種工場見学をはじめ、牧場での羊の毛刈り、牛の出産&搾乳体験。草木染め、毛紡ぎに機織り。まあこれまでは牧場が多かったんだけどとにかく出掛ける。

住宅の建築の現場は本当に飽きないが昨日は眺めるだけではなくて平屋ではあるが足場の解体とちょっとした外壁塗装を手伝わせてもらえるというビッグな1日。わたしは足場が大好きだ。足場の写真集(あるんですよ)を見たり、高所作業の現場を通り掛かると立ち止まらずにはいられなかったり。朝8時、ヘルメットをかぶり安全帯を腰に巻く。ちょっと嬉し過ぎて泣きそうになる。

わたしが6歳の頃自宅のすぐ隣に大きな鉄骨を扱う三階建ての工場が建った。建てたのは父や叔父たち。その頃50代だった祖父がチョロチョロするわたしと弟の子守をした。

小学3年の夏には庭の一画に祖父が離れを建てた。これは木造であったが基礎工事から外壁、屋根に至るまで祖父がひとりで仕切った小さな建築現場をわたしは日夜見入ったものだ。

昨日現場で足場が解体されていくのを見ているうちにこの幼少時の現場の記憶がみるみる蘇った。

足場の大将がどうだ、ハンマー打つか、とわたしに声を掛けてくれた。どうやら見た目より重い足場材をせっせと運んでいたわたしの働きっぷりを少しは認めてもらえたようだ。

‥‥こっちを打つなよ、そうそう指を引っ込めて。‥‥カーン。何発か打つものの支柱のコブの楔はビクともしない。重い鉄のハンマーで堅い鉄の棒を叩くのだから音やら何やらがハンマーを伝って直に手の骨にくる。

大将に代わる。大将のハンマーは音が違った。詰まり気味の音を小刻みに響かせ足場材を軽々と解いてゆく。

むかし足場って木だったよね?わたしは彼に尋ねる。

丸太だね。

ジョイントはどうなってたんだろ?

紐で結んでたんじゃないかな。

彼とわたしは同い年くらい。そんな時代の足場を僕は歩いたことはないけれどと笑った。

今日土曜日。前々から予定していた。長女のママ友たちがチビ太たちを連れてやって来た。薩摩芋を収穫する芋掘りイベントだ。朝から芋づるを払ったりと忙しい。

ママ大丈夫?

結構キツいがなんとか終了。自力で掘り抜いた一本のサツマイモを手にこれはお店で売ってるやつだと叫んでいる子がいた。

やっぱ現場だよな。芋掘りは外せない。現場萌えは否めない。

萩の花 尾花葛花 なでしこが花 

をみなへし また藤袴 朝顔が花

山上憶良 万葉集

ひょっとして歌にして暗記してたのかも。

万葉集の人。