徳川義親「七里飛脚」

三女の家にテディベアが来た。グリュックという名の座高が1.2mもある大きなテディベアだ。友人からの贈り物のそのベアに抱かれるようにしてリビングでくつろいでいる三女からの写メを見てわたしはメールを返す。

どこで売っているのか。ふと思う。作るか。そうか作ればいいんだ。大きな実物大のエゾヒグマをフェイクファーで作るか。

ここは一旦落ち着こう。

先日久しぶりに愛知県図書館へ行った。5年振り。もう来ることも無いだろうとカードは廃棄したとカウンターのお姉さんに言うと、ここの図書カードは3年で更新のシステム今日再び作るべしと言う。ふむ。

閉庫をリクエストして待っているとしばらくしてカウンターの後ろにあるダストシュート風のエレベーターから本の入った箱がギーと上がって来た。思わず唸る。

「七里飛脚」を受け取りこれで徳川義親の本は木曽山のやつを残すのみ。図書館のソファに腰掛け表紙をめくるとなんと義親本人のサインが書かれていた。本人寄贈のスタンプもある。万年筆。インクはブルー。細い線。当然禁帯出である。

初版サイン入りとは。わたしは動揺した。今すぐこのお宝を懐に走って帰りたい衝動に駆られる。入出ゲートは電磁反応だがおそらくわたしは今この時点であかん感じの電磁波を発してるはずだ。行けるか。

んなわけない。わたしは所持金を確かめ、ソファから立ち上がるとカウンターで複写申し込みの用紙を一枚取った。先ほどのお姉さんに話し掛けられもごもご。んーそうですねこれ国会図書館でも電子化してないやつですもんね。わたしはしれっとコピー機を目指す。

飛脚とは江戸時代の宅配。文書や荷物を時には馬を伴って人力で運んだ。義親はなんだって飛脚の本なんか書いたんだろう。この本に義親は尾張藩の飛脚に関する公文書を多く載せまた飛脚の実態の綴られた当時の古文の解説も書いているようだ。

名古屋市には義親が創設した徳川美術館というところがあるがわたしはまだ1度も行っていない。なんで行かないのかは自分でもよくわからない。いやいつか行くよ、でもワンダフル江戸時代ヤッホーみたいなところだったらちょっとなんか違うしさ。

サンダーバード6号」という劇場版のDVDを家族で観た。長女はスコットのマリオネット(人形)の顔が違うと不満そうだ。そう言えばほっぺがちょっと浮腫んでるかな。後半ストーリーの展開と共にスコットが窮地に陥るとスコットのマリオネットは頭部を交換、難しい表情のスコットが現れた。いぶし銀スコット。いいねえ。いやいやそういうことだったんだね〜

劇場版「サンダーバード6号」はテレビ版と異なる雰囲気を持っていた。爆発シーンが多過ぎる。延々燃え続く光景に戦争を想起した。飛行船から落とされるヒトがまるでゴミのよう。

そしてブレインズが発表したサンダーバード6号はタイガーモスという戦時中に実在したイギリス空軍の複葉機だった。これが素敵にかっこいい。

タイガーモスの羽根の上でアランが泣いていた。マリオネットのほっぺを水が伝う。操縦席ではペネロープが泣いている。ブレインズもだ。どうして泣いてるの?泣いてるように見えるのはわたしだけ?思わず尋ねる。風が目に入るんじゃないかな。婿が言った。

制作のジェリー・アンダーソンの実の兄はモスキート乗りであったと、ジェリーは子ども時代に聴いた遥か上空をゆくモスキート音を忘れないのだと長女が教えてくれた。

じゃあ宮崎駿と一緒なのか?

いや一緒じゃないけど、まあそうなのかな。スコットは豚ではないよ。

アタマ混乱して来た。え、なになに昨日は「バックトゥザフューチャー」スペシャル?んでそれも録画してあると。あたしマイケル・J・フォックスがどストライクなんだよね〜

てかママどストライク多過ぎ〜