道端植物染色2〜羊の毛を染めるということ

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わたしは竹中半兵衛が好きで、竹中半兵衛の隠遁地へ出向き、駅前の観光案内所のカウンターで半兵衛の名所巡りについて尋ねた事がある。

半兵衛への思い入れが強いわたしは銅像を見て気持ちが高ぶりこれより半兵衛に会いにいくの乗りになってしまったがその日はボランティアのおじちゃんはたいそう暇で話は幕末鳥羽伏見の戦いにまで発展した。

竹中半兵衛は36歳で病死した。半兵衛亡き後の竹中家はそれからどうなったのか。ボランティアのおじちゃんはわたしのはてなに懇切丁寧に応えてくれたあとおもむろに「アンタ何者だ」と言った。「いや決して怪しい者では無い」わたしはそそくさと観光案内所を出た。

関ヶ原辺りから琵琶湖にかけては街道沿いの山地を国道を車で往来出来るので、国定公園に引っかからなければ植物採取には持ってこいである。

さて今回は羊毛の草木染めについての覚え書きをしたい。参考文献は今年出版されたばかりの山崎和樹著「ウール染めの植物図鑑〜草木染めハンドブック」(文一総合出版)である。

山崎和樹さんは山崎青樹さんの息子さんで大学で染色工学を学び今は先生をしておられるようである。一族の名前に揃って樹木の樹の字を付けるというのがとても麗しい。そして山崎青樹さんは既に亡くなられていた。

羊毛は動物性の繊維であるので染まり易いと捉えていたのだが同じく動物性繊維の絹と違う特性のひとつに繊維の表面がウロコ状に覆われており温度変化や衝撃を加えること絡みやすく変質し易い。これってあのキューティクルってやつのことだろうか。

実はわたしは羊毛仕事は実際に初夏の頃に牧場で羊の毛を刈らせてもらったり紡いで毛糸のカセを作ることはしたことはあるのだが草木染め染色を天然羊毛でするのは初めての経験である。(売っているウールの毛糸を染めたりは何度かしてますが‥‥)

羊の毛を刈って洗い紡ぎカセを作るのは本当に楽しい。羊が好きだ。だから染色は必要無いと思ってしまうのだ。この羊の毛の乳白色の優しさにうっとりする。

でも染めます。今染めないとこの羊の毛ゴミ箱へ捨てられる感じなんですよね。染めてカラフルにしてなんやかんやしようぜみたいな話になっちゃったしな。

40度を少し超えるくらいの高温が染まり易いということですが、その工程で金属系の媒染剤は酸化して沈殿し染液が濁りそれは良くないそうです。ふむふむ。なんで?なんで?まあ、次に行きましょう。

そこで羊毛染色に欠かせないのが酒石英(酒石酸水素カリウム)です。これはワインの沈殿物を再結晶させ精製したもので古来より羊毛染色には使われていたそうです。ではワインの沈殿物を採取して、というわけにはいかないのでこれはネットで買うことにしました。そんなに高くはありません。

ちなみにシフォンケーキなどでメレンゲの泡を潰さないために添加するクリームオブタータは酒石英と全く同じ物質です。そう言えば羊毛もふんわりしてますよね。

昨日は隣町の市町村の図書館へ植物図鑑を借りに行きました。そこはおおらかなんですね。わたしの地元の図書館だと間違いなく禁帯出の図鑑が一週間ならお家に持って帰っても良いシステム。まあ損傷したら弁償なので緊張します。

書庫で眠っている被子裸子含めて三冊ほどの分厚い原色植物図鑑をカウンターの図書館マイスターにお願いしたところマイスターは渋い顔。

「申し訳ありません。只今どなたかが館内で閲覧中でございまして‥‥」

「三冊とも?」「はい‥‥」

わたしは思わず辺りを見渡したが直ぐにマイスターに帰るわと笑顔を返す。ここで変な人と思われたら大失敗だぞ。まあいい。今日は良いではないか。明日があるさ明日がある。

ということでわたしは昨日図書館で偶然にもGETした草木染めとは関係の無いプテリスの本を今日は観ている。

プテリスはシダ類である。

プテリスはすごく可愛い。

プテリスが好き過ぎてわたしは「プテちゃん」と呼んだりしていて、孫も普通に公園などでプテリスを見つけてはプテちゃんプテちゃんと呼びかけている。

草木染めにはぜんぜん関係ないけど竹中半兵衛はしゅっとしててハンサムだったらしいです。