ちくま文庫 ジェームズ・ビアード「ビアードさんのパンの本」

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ビアードさんのパンの本。写真は1つも無い。レシピの記述はカップとスプーン。しかし情報量は多い。文庫サイズなのも気に入っている。 昨日有休を消化せねばならないと言う友人と1日を過ごす。先ずは役所で友人のパスポートの更新。友人が書類書きに手こずっている間にわたしは郵便局へ。主人がヤフオクで落とした木彫り熊の代金を送金。この度は個人的に購入した。しかも熊マスクである。ひとことわたしに声を掛けてくれてもいいだろうと言うと君をびっくりさせたくてさなどと嘘くさいことを言う。

そんなに書類書きが苦手でよく会社勤めが務まるな。友人が酷く手こずっているのでわたしはiphoneでこんな日に行くべきオシャレなカフェや雑貨屋などをさくさく検索する。何ゆえ月曜日に休日を取るのじゃ。月曜定休日の多いことよ。

幾つか候補をリサーチしたのちは持参した中山道の地図本を見つつ博物館や宿を検索。やはりお泊りなら奈良井宿が良さそうだ。贄川宿の関所を見に行くにも便利である。いやそれならばいっそ塩尻ステイがいいか。古ぼけた宿に連泊は色んな意味でキツそうだ。

ようやくカウンターから解放された友人が今から国宝を見に行こうよと言う。聞けば犬山城とな。

行ったことないと言うわたしに友人が驚く。あれだけ徳川徳川言ってるのに犬山城に行ったことがない?無いよ。実は彦根城のボランティアガイドのおじさんも驚いていた。戦国だの関ヶ原だの語っているのに何故犬山城へ行かないのかと。

友人は車を飛ばす。カフェも雑貨屋も調べたのに。午後は牧場で曳き馬の予定だったのに。でも国宝だから。友人は譲らない。友人の車は瞬く間に城下町へ着いた。創業140年の歴史を持つ藤沢げんこつ店。あら、いらっしゃい。なんと友人は顔パスだった。そうか、そうなのか。わたしはげんこつ飴を試食。これは行動食ですね。

城を目指して歩く。一軒の食べ物屋の前で友人の足が止まった。コンニャク食べよう。友人は団子状のコンニャクを一串とおにぎり。わたしは牛すじ土手煮一串210円とちりめん山椒おにぎり。

腹ごしらえのあとは城に登る。天守閣には360度のテラスが付いていて促されてわたしもテラスを歩く。欄干に手を触れないでください。ガイドさんが言う。失策だった。怖過ぎる。すぐ後ろのおばちゃんがすみません、ここから岐阜城は見えますか?と聞いてきた。知らん。あっちかも。わたしは黙って指を指した。

城に併設された庭園。茶室でお抹茶と菓子を食べた。事務服を着たおばちゃんが和服の所作でお茶を運んでくれる。おばちゃんは次々に観光客が茶室に入る中、我々にスポット的に空いた庭の見えるあの席へ移動せよと小声で言う。庭園を眺めながらの一服である。

4千坪の敷地。四方を青竹と古木に囲まれ縫うように歩いた。地図を見ているというのに現在地がわからなくなる。水琴窟だ。ジャブジャブ、友人は水琴窟が大好きだ。何度でもやる。ねえここはさっき来たよね。

その時目の前に葺いたばかりの屋根が現れた。まだ工事中。これはヒノキですか?サワラです。柾目ですね、こけら葺きですね。わたしははしゃいだ。今日で20日目、丁度いい色になって来たところやな、おじさんも笑う。

夕方名鉄犬山駅駅前のパン屋の二階。名古屋よしもとの若手芸人のお笑いライブを見た。お笑いライブを見るなんて生まれてはじめてだ。

日中紫外線を浴び過ぎて頭が痛かった。僕はこう見えても国立大学へ通ってます〜。左の男性がそう言うとそれを受けて右の男性が言った。僕はこう見えても毎週皮膚科に通ってます〜。面白いけどごめん頭が痛い。わたしは厳しい表情で肩をトントン。

ステージなど無いのだ。我々は芸人さんから1メートルしか離れていない席で体操座りである。え、なになに?みんなめっちゃ笑ってるよ。強烈な眠気でウトウト。笑い声もα波となるようだ。わたしは再び意識が遠ざかってゆく。

帰り道、iphoneで撮った水琴窟の動画を何度も再生する。ゴロンゴロンと良い音が響く。お土産に買った藤沢げんこつの袋を開ける。げんこつ飴の香ばしいきな粉の香り。運転中の友人にげんこつ飴をひとつ渡す。

もう食べてるのかと友人が笑った。