東海大学出版部 中島啓裕「イマドキの動物 ジャコウネコ」

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出来事の記録。昨日木工教室。作りたいものはたったひとつ。木彫りの這い熊である。少し前にロシア製の木彫りの這い熊をネットで買った。鮭もくわえていないし、ガオー系でもない。三女によれば「んーま顔」である。(たぶん口紅を付けた後にんーまとやる時の顔?)

まあまだこれは無理だろう。それで次回はレリーフを作ることに決めてこの数日レリーフ用の熊の絵をスケッチノートに描いていた。先生に見せる。ついでにロシアの熊も見せたところおおこりゃプーチンだなと先生ははしゃいでいた。

レリーフを彫るという作業も悪くなかったが木の板に熊の絵を描くというのが楽しいということに気付く。熊の線。熊の肩、熊の手、耳の位置。どうやらわたしは日常目にする熊の絶対量が多いのだ。いつでもどこでも熊ならば描ける。目を閉じれば熊が浮かぶ。熊はわたしの瞼の母なのかもしれない。

数日前は友人とリビングで昼ご飯を食べた。ねえなんで熊を調べてるの?それを聞くか。わたしは出来るだけ手短かに説明する。友人は手先が器用。彼女はわたしが徳川だのミルンだのと話すあいだじゅう楽しそうにわたしの彫りかけの木彫り熊を小刀でちまちま削っていた。

翌日は長女と録画した大河ドラマ真田丸を観る。ふーん、加藤清正新井浩文なのか。昼ご飯食べてく?ママ何食べたい?ツナマヨおにぎり。長女の作るツナマヨおにぎりはとても美味しい。長女はおにぎりを手のひらではなくケースで作る。

その次の日くらいだったか、カフェ飯を食べた。その店のランチプレートには山盛りの野菜サラダがのっているのだがわたしは生のレタスが苦手なのでその日は勇気を出して野菜サラダ無しで、とオーダーしてみた。

出てきたプレートは少量のキャロット・ラペとピクルス類、自家製パテというものだった。嬉しい。言ってみるもんだな。パテは日本人向けなのかレバー少な目でピスタチオ入り。パンに対してパテが多過ぎたので友人にパテを分けてあげた。春キャベツのスープも美味しかった。食後はエスプレッソ。濃い。脳に来る感じである。

友人がどうしてもミスチルの替え歌を聴きたいというので車の中でほれ、と歌ってやると彼女は涙ぐんでいる。そうなんだよ、これは泣ける歌なんだよとわたしもひとりごちる。

夕方。主人は残業。段々窓の外が暗くなって夜になってゆくこの時間が最近苦手だ。youtubeバカリズムのラジオを聴く。バカリズムって面白いな。

中島啓裕は地球上の森林地帯に於ける種子散布哺乳類の研究者である。ジャコウネコは現在14種が確認されており、名前にはネコとあるが、イエネコよりは見た目はマングースに似ているが、ジャコウネコはネコでもなければマングースでもなく、つまり彼等はジャコウネコ、である。

彼はジャコウネコを紹介するにあたり香水の成分を供出する動物だとしてジャコウネコの肛門近くから出るシベトンがどれだけ臭いかの説明のすぐ後でシベットコーヒー(コピルアク)に少しだけふれていた。英語の参考文献も上げてあるのだが、彼自身はコピルアクにはこれっぽっちも関心が無いようだ。

コピルアクが美味しい理由としてシベット(ジャコウネコ)の消化管の消化酵素の働きを上げている。そして彼はシベットが枝から枝へと完熟豆を選んで食べることによりシベットの排出物内からは見事に厳選された珈琲豆が採取出来るとさらりと書いている。

そしてそのあとは「1度飲んだけれど美味しいかどうかさっぱりわかんねー」みたいな記述が続く。

彼の論文によればこれらの動物たちの種子散布活動は森を維持していくのになくてはならない活動であるようだ。

よし。

森、動物、珈琲、である。

彼は珈琲の味がわからない。全然構わないよ、いいよそれで。この本は買おう。アマゾンでワンクリックだ。

上手くいけばわたしは熊から卒業出来るかもしれない。

大きな都市の図書館でジャコウネコで検索したらもう一冊だけヒットした。それは南原幹雄「闇の麝香猫」という幕末の小説であった。

論文のシベットはジャコウネコであるがこの幕末の麝香猫は切れ者のお武家のようだ。

一旦落ち着こう。

うん。