Mr.Children「overture ~ 蘇生」

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http://youtu.be/v58Gidyv55U

相変わらずMr.ChildrenのCDを聴いている。「DISCOVERY」「Q」「深海」に続いて「IT'S A WONDERFUL WORLD」である。まだまだ聴きはじめたばかりだが、深い霧の峠を突き抜けたような明るい曲調が目立つような気がする。

Mr.Childrenの曲はイントロが素晴らしい。「youthful days」などはイントロ部分に歌詞を付けたくなるほどである。

夫が出勤してしまうと朝まだ早かったが隣の階段に住む一人暮らしの友人にメール。彼女は厄介な病気を患い一次休職していたが最近再び働きはじめた。彼女の生活は夜型であり、毎晩遅くとも9時には寝てしまうわたしとは真反対だ。

サッシを開け部屋に朝の風を通す。15体ほどの木彫り熊を一体一体ハンディモップで丁寧に拭う。この作業は結構楽しい。朝の挨拶である。この数ヶ月本を買い過ぎていて本棚が飽和、図書館の本も無造作に積み上げられている。

掃除を終えてやることが無くなった。窓の外の空が青い。米原万里の「嘘つきアーニャ」の本にあったプラハギリシャ人女性の話をふと思った。ぼんやり空を眺めていた。友人から電話。メールを見たんだな。彼女は正午ころここへやって来ると言った。

常温に戻しておいた鶏卵を茹でて殻を剥き、だし汁で煮る。煮卵を作った。その後わたしは「嘘つきアーニャ」をぱらぱらやる。そうしてなんとなくもう一度ギリシャ人女性の話を読んだ。プラハの春。そして話の舞台は西ドイツに移るのだ。

正午少し前彼女から電話で疲れていて4階まで登れそうにないので其方が我が家に来てくれないかと言う。本を閉じ、まだ温かい煮卵を2つビニール袋に入れてわたしは階段を降りた。

同行援護従業者。カレーライスを食べながらわたしがそう言うとうん知ってるよ、と彼女が少しびっくりした顔でわたしを見た。看護助手から介護福祉士そしてケアマネ。彼女は福祉に詳しい。

同行援護従業者とは視覚障害者に同行して市役所などで代筆などのお手伝いをするヘルパーのことである。わたし統合失調症だから無理かな。そうやな、難しいかもな。彼女がカレー皿の上の煮卵をスプーンで半分に割りながら言った。

幾つかの自治体では視覚障害者の同行援護ボランティアのセミナーを6月に実施する。それらは大抵大都市だ。

生まれつき視えない人ってね、言葉の意味を覚えにくいんだよ。記憶力はいいんだけどさ、日本語なのに外国語を話してるみたいになるんだよ。会話が暗号みたいになる。だけど話してくうちにだんだんわかるようになる。

わたしがそういうと彼女が笑う。なんやアンタ目の見えへん人が好きなんか?変わっとるな。

わたしは少し前に精神科の主治医にも相談していた。主治医はわたしの場合は広義の統合失調症ではあるけれどいわゆる統合失調症ではないので全く無理な話ではないと言ってくれたのだ。

そのことを友人に話すと彼女は統合失調症は怖い病気やでとわたしの顔をじっと見る。‥‥まあそうだよね。わたしは煮卵を割る。

米原万里ギリシャ人女性は自分ではどうにもならない時代の波に翻弄されながらも懸命に生きていた。目の前の彼女は今日もこれから介護施設へ夜勤の仕事へ行く。

神戸行ってから四国も行ったんだけど御免お土産なんにも買ってこなかった。わたしがそう言うと要らん要らんお土産なんか要らんと友人はニコニコ。それにしてもアンタ早よ寝すぎやねん、それなんとかならんか?

あーそれは無理やねん〜。

へんな関西弁でわたしは返した。