バームクーヘン

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スピッツ'死神の岬へ'


そのフクロウはそれがバームクーヘンという名前のお菓子だと知らず、とにかく夢中で、皿の上のバームクーヘンを嘴で突いた。


ねえ先生はそのフクロウに会ったの?もちろん。でもフクロウって夜に飛ぶんでしょ。そうだよ。じゃあなんで昼間にバームクーヘンを食べてんの?先生は腕組みをして俯いた。


ねえ嘘なんでしょ、みんな作り話なんでしょ!私は言った。すると先生は顔を上げて言った。そのフクロウは偽物のフクロウだったんだ、そしてそのことに少し勘付いていたんだ。私は黙った。


君は自分が本当は偽物だったということに気がついたフクロウの気持ちがわかるか。そしてバームクーヘンが本物の木ではなく、木に似せたものだということに気づいてしまったフクロウの気持ちがわかるか。私は何か言いたかったが何も言い返せなかった。それで思わず尋ねた。そのバームクーヘンはどんな味だったの?フクロウってバームクーヘンを食べれるの。

 

美味しかったのさ。バームクーヘンは美味しいお菓子だからね。先生は笑顔に戻っていた。