氷枕②

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カネコアヤノ'ぼくら花束みたいに寄り添って'


膵癌はあやさんの他にもう1人いたがその人はあやさんより大人しかった。よく高い熱を出しているようだったが無言でナースコールをしてはナースたちは赤いゴム製の氷枕を作っては運んでいた。入院して初めての土日が来た。週末は大学病院は営業停止。常駐する医師も看護師も極端に少ない。それで患者が週末家に帰ることを外泊と言い、退院の練習といって外泊は大いに励まされたが私だけは病院に居ていいと主治医がそう言って去っていったので同室のお婆さんたちは口々に私を憐んだ。昼寝から目覚めると若い人は速いから、とお婆さんたちは私の癌についてミーティング中だったりしたので私はしばらくは寝たふりをした。