温泉③

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ひげだん'旅は道連れ'


母は温泉が好きだった。あれがどこの温泉場の宿だったのかを思い出せない。朝起きると隣の布団で寝ているはずの母が居なかった。寝巻き姿で戻った母に何処へ行ってきたのと尋ねると朝風呂だという。私はもう大人に近い年齢だったが朝から熱いお湯に浸かりたいという気持ちが少しも理解出来ず無言で寝返りを返した。寝巻きを着替えた母は1000円札を四つ折りにすると枕の下に隠すようにして置いた。こういう仕事は大変なんだよ。全く機嫌が良かったあの母が忘れられない。