キューバのパン


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ジャクリーヌ・デュプレ
パラディス シシリエンヌ




キューバのパンを焼いた。正式名称はキューバン・スウィート・ブレッドといって佐藤政人という人がまとめた「世界のサンドイッチ図鑑」という楽しい本のp293にレシピがのっていた。サンドイッチの本なのでパン焼きの説明は巻末のふろくだけどなぜだろうキューバのパンは是非とも焼いてみたいと思った。何度も焼いている。






もちろんこの本で主立っているのはサンドイッチの方で、キューバのサンドイッチとして紹介されていたのはパン・コン・ティンバという名前の、まあ見たことも食べたこともないやつだったんだけどこのホロホロとしたゆるいパンはなんだろうとひと目見て思った。






キューバのパンを試作したのは去年の冬だった。小さいオーブンで焼いたので膨らんだ生地が天井に届いて真っ黒に焦げが出来たがそれでも甘くて美味しいので毎日のように捏ねた。何を作るの?キューバのパンだよ。ねえもしかしてキューバのパンを焼くの?そうだよ。






ブリオッシュのブリはフランス語の方言で「砕く」という意味らしい。オッシュは同じく「かき混ぜる」という言葉。ブリオッシュがノルマンディー地方の郷土菓子になっているのはノルマンディーには良さげな牧場があって、特上バターが自慢であるかららしいが、フランスという国はお菓子の国と言っても過言でない。今ではフランス各地の牧場で特上のブリオッシュを焼いている、とある。






私は鉄道が好きでパンデミック前はふらり鉄道旅に何回か行った。それよりも好きなのは鉄道で旅をしている小説やルポを読むことで、お金も掛からない。娘や友人には「読み鉄」と言われたりしているが、こういうのは何ていうのかなあ。





フランス菓子をパティスリーで買って味わうでもなく、かといって道具を揃えて作るということもしない。暇な時間にはひたすらレシピ集やパティシエのエッセイを読む。読みフレンチ。






ところがどっこいである。キューバのパンはフレンチだった。紛う事無きブリオッシュである。早速ブリオッシュを焼いた。この度は焦がしたくはない。発酵中のパン生地をボールに入れ、サランラップをかけ、いそいそ信号を渡る。





「ちょっくら、オーブン借りるよ!」娘の家にのりこんだ。なにを焼くって?キューバのブリオッシュですよ〜