
https://open.spotify.com/track/6JITVxkSu3H5BwAVWJ5cc8?si=Vn2ePEwxS5ekVPad7MrMcw
「それではわたしがわたしでなくなってしまいます」平さんは語った。U-NEXTで「トキワ荘の青春」を観た。映画を観ながらわたしは平さんに強い感情移入をした。平さんが普通のおじさんなら構わない。平さんは表現者でクリエイターだから、自分という人間を通して作り出す作品の整合性を乱したくはなかったんだろう。
だけど平さんやっぱりそれは違うかも。人間の判断は一人一人個別の脳みそで処理される主観的なものだよ。作品を誠実なものにしたつもりでも受け取り方のシチュエーションには千差ある。辛いけれど理想と現実は残酷なほどすれ違っているよね。
わたしがこゝろを揺り動かされたのは平さんの自分でもコントロール不能なほどの譲れなさだった。譲れない。この点に関しては1ミリも自分を偽れない。そんな誰かの景色をむしろわたしは共有したい。それは間違いなく平さんの真実だし、それに対して発せされる種類のわたしの何かもまたわたしの真実だからだ。
だけど平さんが真実が好きかどうかはわからない。彼もわたしも表面では嘘を発しているんだろう。その嘘を付く行為こそが我々の真実だと言える。嘘つき平さん。自分が嘘つきだと分かっていたからあの時譲れなかった。
たけど良いんだよ、わたしには嘘をついていい。許すよ。そして平さんはクリエイターにならなければよかったね。たまの休みに野球をしたり絵を描いたり、9時5時で事務や片付けの仕事をする。そういう毎日を送れば苦しまなくても済んだ。
くるんと大きなまなこの男の子の平さん。こんな世界じゃ笑顔を取り戻すことは難しい。だがせめてあともう少しだけ僕は踏ん張りたいと思ってる。