潮流

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"bunga sayang" ディック・リー

 

わたしの孤島への憧れは漫画やテレビアニメのいくつかの冒険ストーリーで育まれた。一念発起大洋へ漕ぎ出し、筏(いかだ)のような粗末な船が波に揉まれながらも命からがら孤島に辿り着く。そんな粗筋に何歳になっても心踊るのは何故だろう。

 

旅には終りがある。放浪も止む時が来る。「そぞろ神ってなに?」先日、中学生の女の子に聞かれた。そぞろ神は松尾芭蕉の『おくの細道』に登場する。旅立ちへの言い訳。芭蕉はいやいや誘われちゃいまして、と書いたわけ。にしてもそぞろ神、神様とは如何に。支配された。あらがえぬ衝動。たぶんコントロール不能だったんだね。わたしは答えた。 

 

日常われわれは足のつかない深い海で沈まぬように犬かきのようなことをして生きているようなものだ。もがき続ける。

 

でしたら目標を定めるのは有益なこと。大海には潮流かある。潮流とは潮の満ち干によって周期的に起こる海水の流れ。潮の満ち引きの原因は月の引力、それから地球の自転である。潮流っていいな。

 

少し前に久しぶり1人ロードバイクで半日がかりの遠出をした。強い向かい風に抗って、もうお年寄りになったわたしがチャカチャカと自転車を漕いでは考え、信号で止まらされては考えた。

 

海には出れない。こうしてここで潮流を待っている。地球の自転と月の引力なのだ。信号が代わりぐいと漕ぎ出すと重力が推進力になり、自転車はふらふらと前進した。

 

ベアリングのトルクを感じてはニマニマと顔がほころんだ。だからわたし自転車が好きなんだなー。