出来事の記録。長女の一押しで数日をかけて「のだめカンタービレ」を全部観た。ママこれを観ずしてクラシックを語るべからずという長女。唸る。言い切るよ〜。
主役の女の子が可愛いし、飛行機に乗れない主人公の彼がイケメンだったのは良しとするがわたしの大好きな小出恵介が衝撃的なキャラを演じていてただただ絶句。とはいえ流石小出恵介だ。見事に演じきっていて圧巻だ。
わたしは中学生の時ピアノがそれはそれは好きだった。熱血師匠がドイツへ旅立ってのちすぐにピアノを辞められず真っ先に選んだ曲はシューベルトだった。
わたしはシューベルトが今でも好きだがシューベルトにはなんだか浪花節を感じるのだ。ヨーロッパの浪花節である。石畳みの路地、煉瓦の枯葉。浪花節シューベルト。
シューベルトの即興曲を独学コンプリートした。哀しいわたしの日常に高速ピアノ曲が併走した。ねじ曲がっていきそうな何かを真っ直ぐにねとシューベルトはわたしを律した。
中学校の音楽教員が声楽家の立川澄人と知り合いで、ある日学校の講堂で立川澄人のリサイタルが開かれたのだが、その教員は放課後音楽室のグランドピアノをわたしに自由に弾いて良いとしてくれたりして危なく人生を放り出しそうなわたしを援助してくれており、その音楽教員の一存で、演壇でアンコールを終えた立川澄人に花束を手渡す役割がその日わたしに命じられた。
アンコールが終わる。立川澄人が微笑んで立つステージへとわたしは進んだ。会場は騒ついた。わたしは既に一端の不良少女だったからだ。長いスカート。長い前髪。片手に花束。なんだてめえら何か文句あるか。わたしは聴衆を見渡した。
久しぶりシューベルトを聴く。
フィッシャー・ディースカウを教えてくれたのはその音楽教員だ。
ドイツ語の響き。
引越ししたらフィッシャー・ディースカウのレコードを買おうかな。