2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ウフ・ア・ラ・コック

誠文堂新光社「サンドイッチの発想と組み立て」という本を見ています。 面白いですね。 世界7カ国、25の定番サンドイッチのレシピが分析されています。それぞれのサンドイッチはひとつひとつその断面を撮影され、味の決めてはこうである、パンと具の配分はこ…

小説 丘の上から ①秋の章 10

「兎たちをケージから出す」うさおは言った。 誰も何も言わなかった。ただチェロだけが演奏を続けている。くねくねと曲がった、急な山岳の岩場を、強健な馬に乗って駆け下りるような演奏だった。 演奏が終わるタイミングでエルはステレオのスイッチを切った…

流星ビバップ

流星ビバップは小沢健二の曲だ。 usaoはサンドイッチの専門書を調べ始めた。定番のサンドイッチレシピを次から次へとリストアップしてモレスキンに書き詰めていく。 elleはカトマンズのリサーチで忙しい。彼女には珍しく地道にシュミレーション。どうやらわ…

ライク・ア・ローリングストーン

夕焼け空を見ています。 若い時代、まだ20代かそれくらいのころ、夕方ごろになると無性に何処かへ行きたくなる、それもひとりで、そんな感情を抱えていました。 遁走というやつです。 DIDの症状に解離性遁走とあるのを読んだ時ドキドキしました。ああ、あれ…

小説 丘の上から ①秋の章 9

丘の上のマリの店に着いた時にはもう日が暮れかかっていた。 マリの店というのはカフェか何かのようで、中には2人の客がいた。 パトリックジェーン。彼は向かって左側の奥のコーナーのボックス席の壁側に座り、うさおを見て陽気に手を振った。彼は中国のなん…

遠吠えシャッフル

はじめてバイクに乗った時、私はたぶん5歳か6歳だ。父の運転するHondaスーパーカブの後部座席だった。冬だった。鳴りやまぬ耳元の轟音。ガタガタ道。転落してもおかしくない程の、全行程ホッピング状態。鉄工所を営んでいた父の背中からは鉄の匂いがした。…

沖縄旅行③沖縄未満であるということ

沖縄から帰り荷物を整理しています。今回で3度目の沖縄でした。 まだまだです。 足りない。 前回、前々回に比べて海は1番青かったです。友人は夏おいでよ、夏の海見なきゃ、って言うんだけど、なんでなのかな〜。そもそも水が、と言うか、白状してしまうと自…

沖縄旅行② 古民家にこもって沖縄フードを食べ尽くす

おはようございます。台風19号を迎え撃つかたちで沖縄入りしました。どうやら台風はこの沖縄中部地方を直撃する感じです。 ゆうべは早々と停電しました。回復したと思ったらまた消える。闇に目が慣れた頃にまた点く。この繰り返しが結構ダメージで、結局電気…

沖縄旅行 ①沖縄ではツナのことをトゥーナと言う。

昨日から沖縄に来ています。今回はうるま市の海中道路の先にある平安座島の古民家コンドミニアムに3泊4日滞在しているのですが、台風19号でどうやら予定通り本州に戻るのがむつかしくなりそうです。 今回楽しみにしていた人生初のサーフィン体験。いくらなん…

小説 丘の上から ①秋の章 8

「美和はひとりぼっちだったんだ。産まれた場所も、誕生日もわからない。施設で育ったんだ。施設ってわかる?……騒がしい子どもの声。消毒の匂い、きゅっきゅって鳴るリノリウムの白い床。‥‥誰のものでもない汚れた熊や兎のぬいぐるみたち。壊れたままのブリ…

小説 丘の上から ①秋の章 7

轟々と何かが音をたてている。それは2CVのエンジン音ではなく風の音だった。息を吸い込むとひんやり冷たかった。丸められ、地面に置かれたジャンパーのポケットからごそごそと外へ出た僕は身ぶるいした。僕はしばらく茫然と立ち尽くした。そこは広々とした…