不機嫌

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ファーストラヴ


その時窓に何かがコツンとぶつかった。それは一匹のナガレヒキガエルだったが、しばらくしてもう一度コツンと音がした。フライデーがカエルだカエルだと大げさに騒ぐのでメアリーレノックスのかんしゃくは止んだ。あたしカエルが見たい。彼女は窓から顔を出したがそこにはカエルは見当たらなかったので彼女は必死になって、外へ出てカエルを見つけると言った。カエル嫌いじゃないの?僕は彼女に尋ねた。いつだれがそんなこと貴方に言ったのよ。あたしはカエルが大好きなの。メアリーレノックスは相変わらず不機嫌だった。


かんしゃく

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秦基博'tell me,tell me'


翌日丸一日雨が降った。雨が上がるとコテージの前の池で小さな魚が1匹ぴょんと跳ねた。僕はもうしばらくここでメアリーレノックスの様子を見ていることにした。メアリーレノックスはものすごく機嫌が悪かった。僕と目が合うだけでもかんしゃくを起こし、大声を張り上げてアタシもうすぐ死ぬのよとなんどもそう言ってきかなかった。



【閑話】①

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ハイファイセット’卒業写真'


バーネット(1849生)、モンゴメリ(1874生)、ウェブスター(1876生)、トラバース(1899生)。トラバース以外は裕福な家庭で育った。トラバースは別格かなあ、彼女は作家になる前に女優になってるからなあ。この4月は友人に勧められて「秘密の花園」を読んだ。といってもまだ最後の最後の場面を読み切らずに残したまま。季節は巡るんである。このまま半年後、冬になったときに残しておいたこのお話の結末を読もうと画策してるんです。「赤毛のアン」はまだ一巻の4分の1も読んでいない。モンゴメリは孤児をいきなり新緑に放り込んだがバーネットは夜の平原に孤児を連れてきた。ウェブスターとトラバースに共通しているのはどちらも物語が作家の私生活に関与していること。触発されて私もぽちぽちと物語を書きはじめた。春は苦手やねんけど〜


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スカルラッティ


開け放った窓から風が吹き込んだ。それは春とはいえまだ冷たい風でメアリーレノックスは朝食のオートミールのお粥を食べるのをピッタリとやめてしまった。そうしてメアリーレノックスは人形のように動かなくなった。海なんて行きたくないわ。メアリーレノックスは無表情、つっけんどん、窓を閉めて、と呟いた。


冒険

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モダンラヴァーズ’アイスクリームマン'


少し歩くけどね。フライデーはメアリーレノックスに海岸の話をした。海を見たことがないと彼女が言った。僕も入ったことはないよ、パトリックの家は海の上に建ってるよ。フライデーが言った。お腹空いた。彼女が言った。朝ごはんを食べたら行こうよ。僕がそういうとフライデーも笑顔でうなづいた。




つむじまがり

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シューベルトピアノソナタD157第3楽章


彼女があまり笑わないことに僕たちは慣れていた。僕だって、フライデーだって常に周囲に愛想を振りまいて暮らしてるわけじゃない。メアリーレノックスは変わった女の子だ。彼女はあまり笑わないだけじゃない。すぐ側にいる僕たちにも自分の感情を隠している様子。いやもしかしたら彼女には人間の子どもらしい感情が少ないのかもしれない。彼女は誰かにああしろこうしろと言われてもたぶん言うことを聞かないだろう。大人に気に入られて可愛がられたいだとか、そんな普通の子どもらしさをすっかり失っていた。いやもしかしたら生来のつむじまがり。


メアリー・レノックス

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レオナルド・アーン'カプリス・メランコリック'


朝が来た。女の子は僕を睨みつけていた。何が気に入らないのかと尋ねたら朝が来ることが気に入らないと言った。どうして朝が嫌なのと尋ねるとさあわからない、これまでずっと朝になるとそうだったから、と言って布団を抜け出し、ああ寒いと言った。女の子の名前はメアリーレノックスと言った。