偕成社文庫 エクトール・マロ「家なき子」

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出来事の記録。

昨日1日6歳と過ごす。朝彼の大好きな蒸しパンを作る。黒糖&レーズン、そしてブルーベリー入りの2種類。10時長女が6歳を連れてきた。夏休みの宿題とピアノのレッスンなど1日のスケジュールを説明すると長女は出掛けた。6歳ひぐおとひたすら遊ぶ。

昼は蕎麦。太刀魚を焼く。タブレットでとっておきのサーカスの熊の動画を観せる。これ中に人が入ってんじゃないよ。うん、すごいね。

午後わたしがエクトール・マロ「家なき子」を読んでいると6歳が尋ねた。それ面白い?いや。じゃあなんで読んでるの?面白くはない哀しい、でもまだどうなるかわかんない。なんの話?わたしはざっくりとあらすじを説明する。6歳が初めから読んで欲しいと言う。わたしは「家なき子」を6歳に読み聞かせはじめる。

『ぼくは拾われた子だ』

家なき子」の冒頭はこんな言葉で始まる。偕成社文庫「家なき子」は原作に忠実でしかも翻訳がとても良いのだ。

ねえどこかに赤ん坊が落ちてたの?6歳が尋ねた。そうかもね。わたしは答えた。

主人公レミは8歳になるまで一緒に暮らす母親が自分を拾い育てた養母であることを知らなかった。19世紀フランスの片田舎での極貧の暮らし。パリで出稼ぎ中の父親が落盤事故で片脚を切断したとの手紙。レミの母親は飼っていた牛を売った。牛との別れ。『ぼくらは雌牛を愛し、雌牛もぼくらを愛していた』6歳は先ほどから黙っている。

バターなしミルクなしの生活が始まる。ある日母親はレミのために近所でバターとミルクを調達し、クレープを焼く。なんでもその日は毎年クレープを食べる記念日みたいなのだ。暖炉の火の描写。香ばしいバターの香り。

バッドタイミングで荒々しい片脚の男が現れ、クレープ用のバターをみんなスープにした。レミは泣くに泣けず空腹のまま床に就く。

数日後この片脚の男により、レミは酒場で出会った謎の旅芸人の老人に40フランで売られてしまうのだ。

レミは8歳。レミの1番の楽しみは庭先での土いじり。母親の喜ぶ顔見たさで草花を育てている優しい男の子なのだ。さようならぼくの庭、さようならぼくの母さん。

レミは丁度レミの育った家が一望出来る丘にたっていた。彼が逃げないようにと旅芸人の老人が掴んでいたその手が解かれた。レミは力の限り叫んだ。かあさん、かあさん。

厳しい表情の6歳をまえにしてわたしはここは感情を込めずに淡々と読んだ。泣いちゃうとまずいしな。カアサン、カアサン。

6歳が部屋を出て隣の部屋へ。ヤバい、やっぱり泣いてるよ。

わたしは本を閉じiphoneでサーカス動画を検索した。楽しい動画を探す。犬か猫、そうだピエロでもいいか。すると6歳は真面目な顔をしてその可哀想な話の続きを読んでくれと言う。了解しました。わたしは続きを読む。

レミは老人に次の街で革靴を買ってもらうことに。革靴?そう。なんか今まで木の靴を履いたから長く歩いて足が痛んだみたい。ふうん、革靴良かったね。

雨。傘をささないで歩くレミ。泊まる場所は納屋。真っ暗な納屋のなか老人と小さな猿と3匹の犬とともに硬いパンがひと切れという1日一食限りの食事を終えずぶ濡れの衣服のまま積み上げられたシダのなかに潜り込み眠る。なかなか眠れないレミ。『寒さと不安でレミの歯はガチガチと鳴っていた』

6歳は寝転がり天井を見ている。もしかして寝ちゃったのか。

レミが顔に温かい息を感じて目をさますと3匹のうちの1匹のプードル犬がレミの息を確かめるように顔を近づけている。犬はその前足の肉球をレミの頬に付けた。レミと犬はぴったりとくっついて眠った。

6歳がのらくらと部屋を出て隣の部屋へ。おいおいマジか。大丈夫だよ。ことあと彼は欲しかった革靴買ってもらえるんだよ。

エクトール・マロは自分の子のためにこの話を書いた。よくわかんないけどなんかすごいね。

https://youtu.be/8MWUuSHWvDs (奇妙礼太郎/おおシャンゼリゼ)