岩波文庫 坂田精一訳 アーネスト・サトウ「一外交官の見た明治維新」(上)

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数日前から夫とyoutubeで「水曜どうでしょう」を観ている。久しぶりの「水どう」。2011年の「原付日本列島制覇 東京-紀伊半島-高知」全12回。

ロケは2010年の夏に5泊6日で行われた。この年大泉洋NHK大河ドラマ龍馬伝」に近藤長次郎役で出演中。水どうロケの時期は既にクランクアップしていたのかもしれない。

撮影事情があまりわからないまま観ていたがNHK大河ドラマに出るまでになった大泉洋が6日間も原付を乗り続けるという体力も気力も必要とするこのロケに嬉しそうに映っていることがちょっとだけ不自然な感じがした。

水どうに詳しい友人に尋ねるとやはり彼女も大泉洋というタレントの特異稀な存在について語っていた。

静岡市内を走行中前を走る車に水どうのステッカーを発見した大泉洋が気さくにドライバーに話し掛ける。まさかの本物、今自分が水どうロケに帆走しているのだとドライバーは軽自動車が大揺れするほどの喜び様だ。バレちゃったななどと大泉洋もはしゃぐ。バレちゃったんじゃなくてオマエが話し掛けたんだろうとディレクターも笑った。

ミスターと大泉洋のカブは伊良湖岬紀伊半島行きのフェリーに乗り込んだ。簡単にフェリーに乗っちゃうんだなと大泉洋が呟いた。わたしも少し残念に思いそんなことを言うと平日の名古屋市内はどこも渋滞だから水どうだ、大泉洋だ、ってバレちゃうからじゃないかと夫が言った。そうだね、そうなるとなんか危ないしね。

伊勢でミスターが赤福餅を頬張るロケ。そうかミスターは甘いものが苦手なのか〜。ロケでいつもケーキや饅頭を食べていたからてっきり好きなのかなと思っていた。

それにしてもミスターのプロとしての意識は高い。14キロを超えるマルシン出前機とおか持ち(中には丼も入っている)を後部座席に積んで何百キロも走るのだ。風に揺られバランスが取りづらい。きっと体はクタクタになるだろう。

後を行く大泉洋はこの日はフル装備土木作業員の扮装だ。カブってすごいな。見事に景色に溶け込むのだ。東京から高知まで出前に行くというミスターにそりゃスゲえ蕎麦だなと大泉洋が言った。

まだまだ高知までは遠い。続きは夫と一緒に観る約束をしたので昼間はyoutubeは観ない。岩波文庫アーネスト・サトウが届いた。上巻と下巻を別々に注文したが首尾よく上巻が先に届いてくれた。

アーネスト・サトウは1862年から20年間日本に滞在した。大政奉還が1867年だから彼は明治維新の真っ只中にいたことになる。

わたしが明治維新を始めて読んだのは中学になってから読んだ学習漫画だった。小学館学習漫画明治維新をとにかく素晴らしい、近代の幕開けと描写していたから大人になるまでそれを信じて疑わなかった。

アーネスト・サトウ明治維新を王政復古と書いていた。王政復古、つまりクーデターである。内戦である。

NHK大河ドラマ新選組を観たのは数年前。友人がDVDBOXを貸してくれた。なんだかおかしいな。新選組は哀しいな。友人は映画「壬生義士伝」も貸してくれた。

明治維新ていったいなんだろう。今更ながらそんなことをずっと考えている。

大泉洋が演じた近藤長次郎は饅頭屋の息子だったけれど利発で才覚を認められ25歳で苗字をもらうがその4年後には長崎で切腹していた。若き長次郎の洋行の夢は果たされなかった。何を失敗したのかな。

アーネスト・サトウはキレのある文体と瑞々しい描写で徳川の衰退や商人たちの活気を書いている。まだ第2章だけれど脱線に次ぐ脱線で幕末の事件を調べつつ読み進む。

さっきまで薩摩藩の手伝普請を調べていた。薩摩藩は幕府を恨んだかもしれないなどと考えた。薩摩藩の領地には沖縄が含まれていた。

いろんなことを考える。

仕事人ミスターの後続を嬉々として走る大泉洋の弾ける笑顔をふと思った。近藤長次郎のことがアーネスト・サトウの本にもいつか出てくるかな。

残虐で恐怖に満ちた明治維新

アーネスト・サトウは書いている。この本は1945年に発禁が解かれた悲しみの記録である。