夢の人

どうやら私の脳内のジュークボックスは飽和状態で新曲が入る余地がないみたいだ。「夢の人」はビートルズの曲。歌は知らない。栗コーダーがカバーしたやつしか聴いたことがない。

 悲しみや苦しみ、失意や落胆。マイナスの感情の到来には手も足も出ない。ほどほどに悲しむ、ちょっとがっくり、そんな風にやり過ごしたい。

 そもそも願望、お願い事が多すぎるのかもしれない。叶わなかった夢とか、砕かれ続けた誇りや野心、そんな出来事を丁寧に覚えている。勲章にでもしているのだ。

 DIDは治らないよ。だいいち治るってなんだ?朝起きて、コーヒー飲んで、ジョギングして、グラノ―ラ食べて。ランチして、散歩して、ご飯食べて、夜が来て眠る。上等だ。冷蔵庫には低温殺菌のノンホモ牛乳。猫二匹。言うことなしだ。

 時々耳をふさぎたくなるんだよね。頭の中の声や音。風の音。草を踏む足音。笑い声。

 いや違う。

 本当は嬉しい。本当は安心。本当は、本当は。

 

 まあ、そんなに悩むなよ。あんた一人じゃ何も出来ない。それがそんなに悲しいの?

 

 クリストファーロビンだって大真面目。

 

 怠けたいとか思ってるわけじゃない。

 

人操ろうとかたくらんでるわけじゃない。

 

 肩の力抜いていこう。