今朝は寝坊したので発酵をオーブンにお願いした。今日は北京の焼餅だ。正式名称は忘れた。強力粉で発酵生地を作りフライパンで焼く。wetはお湯。オイルは菜種油。
粉を捏ねながら色々なことを考える。
今日は背広。スーツだ。私は男性はスーツスタイルでなければならないと考えるところがある。スーツはブリティッシュスーツでなければならない。生地は地味な無地で、袖口はタイト。窮屈そうな感じのスーツだ。
「コラテラル」のトムクルーズのグレーのスーツ。脳内にあれが出てスーツスタイルのフラッシュカードが一旦停止。あれは監督のこだわりで九龍で仕立てたらしい。
トムクルーズは背も低いし、そんなにスタイルは抜群ではない。肩幅は狭いし、脚だってそんなに長くはない。
でもスーツが似合うのだ。
20歳の頃、思いつきでYシャツを一枚作ったことがある。ブルーの生地で、下手くそだったけれどなんとか完成させた。お気に入りで毎日着ていた。
その頃私はブルーのYシャツをすでに一枚持っていた。それはバーテンをしていた父のもので、何枚もあったスペアの一枚で新品を頂戴した。ポリエステル混で扱いやすく着心地もよかった。父は小さな体をしていたのだろう。そうでなければ私が着られるはずはない。
父は黒い蝶ネクタイ、黒いベスト姿でカウンターに立っていた。しかし父は格好だけで実際にカクテルを作るのは母だった。そんな店、よくやっていけたものだ。
実は父は若いころはテーラーをしていた。
父は自作のスーツやウールのコートを数着持っていた。
私の一家は引越しが多かったが1台の工業ミシンがいつも一緒に引越しについてきていた。しかし父がそのミシンを踏んでいる姿を実際みたことはない。
私が結婚して、長女を出産したある日、父が私の夫にプレゼントをすると言った。私たちは赤ん坊の長女を連れて父の車で出掛けた。
そこは父のテーラー時代の友人のお店だった。父は私の夫にスーツを一着フルオーダーで仕立ててくれたのだった。
父もたぶんスーツへのこだわりを持っていたのだろう。仕立てられた夫のスーツは肩に詰め物が入っているシングルスーツで、タイトなブリティッシュスタイルのものだった。
その日父の古い友人であるテーラーの男性は父のことを愛称で親しげに呼んだ。ここは高いぞ、と父も笑った。
うん。
間違っても父はトムクルーズではない。
「暗くなるまで待って」のアランアーキン。
うん。
サングラスをかければポイポイ。クレイジー。あーアランアーキンは皮のスーツだ。まあいいか。
久しぶりにチャンドラーを読もう。もう百万回読んでるぞ。
フィリップマーロウはどんなスーツ着てたのかな。
ネクタイ
してたのかな?
まあ、蝶ネクタイではないわな。