fridayusaoのブログ〜丘の上から

統合失調症でDID、読書と音楽鑑賞の日々の徒然。

多重人格NOTE その10 治療同盟

精神科医はイケメンの方が良いか、そんな事を先日主治医と語り合った。精神科医は男性、患者は女性という設定だ。

もしも主治医がイケメンだと毎回の診察が心無しか楽しみになるから通院服薬等のコンプライアンスの向上がある、とわたし。まあ別にいいんじゃないかな。

もしも主治医がイケメンだととかく診察在り来の日々となり患者の日常のノーマライゼーションが歪む、と主治医。つまり病気人生も悪くないみたいになっちゃうんだな。ふんふんなるほど。

わたしは治療同盟という用語はパトナムの本で初めて知った。しかしそれ以前にもわたしの主治医はそれらしいことを診察の終わりにやっていたような気がする。

簡単に言うと約束である。治療に於ける契約のようなものだ。文書化すべきとする欧米の専門書もある。

DID以外にもいわゆるカウンセリング治療と呼ばれるものにこの治療同盟は必要であるがわたしはこの同盟という言葉が好きだ。

生身の人間は完全では居られない。かつて診察時間に主治医が遅刻して小一時間待合で待ったことがある。自殺はしないと約束したにも関わらず自殺を図ったというわたしの側の契約不履行だってある。

治療同盟に代わる用語として信頼関係や絆などがある。徐々に信頼を築くとか、絆が強まるなどと言う。

DIDは言わば裏切りの連続で生きて来た。裏切られて傷ついた子どもは自己防衛として今度は誰かを裏切ることをやってみる。徹底的に深い傷を負ったDIDは無関係の誰かを酷い目に合わせたことがあるのではないか。

DIDの人生は戦場だ。さてどうすればここを切り抜けられるか、相手の特質を見抜き弱味を衝くやり方は無いものか。DIDには何十年もそんな対人関係が続いて来た。しかも下手くそなやり方で大抵は何ひとつ攻略出来ず後手後手で傷を負い続け、悲しいかな負けには慣れている。

こんな心には信頼や絆などSF並みの離れ業である。信じたりしては危ないのだ。何かを期待して崖から落とされたことを忘れるなと声がするのだ。

DIDの敵とは何か。DIDの敵は過去の全てである。タイムラグを経て飛び掛かり来る脳内の過去の惨状で守備よく対処して次の来襲を待つのだ。

主治医はわたしの味方だと気づいてのち、わたしの勝率は上がった。主治医は一緒に戦ってくれる同盟関係にある隣国なのだ。

初診当時のことだ。わたしは早朝家を飛び出した。解離性遁走だった。会社を急遽休んで追いかけてくれた主人がわたしを捕まえて病院へ連れて行った。その日診察室で主治医が言った。

僕に悪行を犯させるつもりですか?

悪行?

予約も無しに勝手に診察するという悪行です。診察は2週間の間隔で、と先日ちゃんと約束しましたからね。

先日のイケメン談義中わたしはその頃を思い出して思わず言った。

あたしセンセイのこと「なにこの嫌な奴」って思ってたんだよね。

まあ、そんなもんやで、それで他の病院へ代わってく患者多いわな〜。主治医が笑う。

なんて言うか「大嫌い」ってのがわたしには「GO!」なんだなあ。わたしがそう言うと主治医がはてなという顔をする。

親戚、学校、市役所、町内会。長い間わたしの周りの居場所は嫌だ嫌だの連続だった。快い場所などかえってどうしていいかわからなくなる。‥‥だからセンセイでよかったのか。うん!

‥‥‥‥。

やっぱ主治医がイケメンだと困るわなぁー。

ってことだね!

結論?

お互いに約束は守ろう。

これですね。