Smile〜Nat King Cole

舟田詠子「パンの文化史」をコツコツ読んでいる。グルテンとは?ある種のタンパク質たちが加水により粘度と柔軟性をもつ。生地の膨張を引き起こす発酵のメカニズムの元である。

ロティ・オランの本には「グルテンはユニットである」「グルテンを組み立てる」とある。ちょっと待って。あたしはパンを焼くだけ。焼いて食べるだけ。グルテン組み立てるとかマジわけわかんないし〜。という感じで夕べはふて寝した。

朝、いつものようにパン種のタッパーを抱えて厨房入りする。蓋を開けるといつもより生地がダレていた。天然酵母の生地は発酵しても膨らみは若干少なめである。昨日長女がくれるというので苺酵母元種を貰ってライ麦を混ぜた。

まだ5時前だ。少しのんびりパンを成型する。

ガス抜きしようと手を当てる。グルテンを壊すな、と声がする。壊すも何もグルテンなど見えやしないのだ。 構うものか、と言いつつもまあ何と無くいつもより丁寧に扱う。苺酵母は水と粉を1:1で作ってあるので水分が多い。確かロティ・オランでは布ごと生地を持ち上げていた。そおっと生地を三つ折りにする。ゆっくりだよ。お〜ね〜が〜い〜しますっというふざけた声がする。

いつも使ってるのはまだ寒い冬の頃に知人のオーストラリア人男性から頂いた生姜酵母を起こした元種。引き継ぎ引き継ぎ使っている。もう春だ。パン種は季節を越え野菜室を住処として生き続けている。

引き継ぎはいつも目分量。粉は多め。わたしは種はビニール袋で保存するからべちゃべちゃだと扱いに困る。それにしたって水多めだなと言いつつやっていたが。今日の苺酵母元種はひときわ柔らかいよ。しかし生地はしっかりとつながっている。そうかなるほどユニットとはこのことか。

今日からクープはクープカッターを使う。いやクープカッターと言っても本物ではない。無印で買ったカッターナイフだ。クープ用に新しく購入。おお、いい感じ。これまではペティナイフでやっていた。クープ入れはめっちゃ緊張やで。クープ大事。クープが無ければ蒸気が抜けられず底割れを起こす。

オーブンのスチーム機能を設定する。230度。余熱完了。ナマコ型の生地を2本オーブン内のテーブルに並べる。もちろん生地はペイパーごと運ぶ。中段では底からの熱が強過ぎてパンは限りなく球体を目指すのだ。

上手く行っていたが途中底が浮き始めたので温度を200度に下げる。よく見るとクープが2本まだ閉じたままだ。この次はもっと深くしないと。クープがなんだ。パンなんだから食べられたらそれでいいのさと開き直りお弁当の仕込みに入る。ササミ梅シソ和え、キャベツ人参の胡麻和え、玉ねぎのきんぴら、卵焼き。忙しいが楽しい。きっと弁当作りが性に合っているのだな。途中ライ麦パンが焼きあがり天板を出して冷ます。

まだ時間があるのでスコーンも焼く。スコーンがパンケースにあるとなんだか安心する。こういうところ間違いないな。本物の貧乏性だ。

今日ライ麦パン美味しいじゃん。婿が言う。あたしの酵母だからね。長女はドヤ顔である。酵母はリフレッシュするのに3日かかるからこれまでは1度に3日分のパンを焼いていたが、酵母が2種類になったということは毎日くらい焼けるということか。うん。なんか嬉しい。

片付けを終えてひと息入れたところでピヨピヨさんのレシピでコーンブレッドを焼こうと思い立ちバターミルク代わりの檸檬ミルクを放置するあいだにリコさんのレシピのポレンタをががっと作ってみた。ハーブは少し悩んで無しにした。

ピヨピヨさんのコーンブレッドが焼きあがりクリームチーズを付けて食べた。夜勤明けの主人はクリームチーズ無い方が美味しいという。ほう。これは年寄り向けのパンでないかい?

ポレンタは今冷蔵庫だ。

後で切って焼くんだ〜。

ここで一曲。

ナットキングコール「スマイル」。