いなほ書房「エスプレッソーその味と香り」広瀬幸雄訳

近所の図書館が特別整理期間に入ったので昨日は隣の市町村の図書館へ行った。このいなほ書房のエスプレッソの本はとてもわかりやすい。

アントニー・ワイルドの珈琲の本は月末まで借りられるし、内容が高尚過ぎてなかなか進まない。まだ四分の一しか読んでないけれど何と無くロブスタ種は不味いばかりが脳に残る。ロブスタ種は悪者なのか。あってはならぬのか。はてなは続く。

先週若い友人とカフェへ行った。あたし北海道行って来たよ。それから新しい小説を書き始めたよ。話は尽きない。友人は日替わり珈琲、わたしの今日のデザインカプチーノは兎。

兎はハートの切り込みを深く入れて耳を描く。やったことは無い。あちこちのインスタの動画を見過ぎなのだ。アゴのラインがキュート。エスプレッソのクレマが良いのか。

兎は泡で出来ている。クレマも、そしてミルクも。兎は音無き音を立て消えつつある。切ないな。

伝わらないんです。

会話のリアクションを瞬時に返すことの是非について若い友人が語り始めた。

嬉しいって相手に伝わらないとそうしないといつまでたっても距離が縮まらないでしょ。

うん、まあ、そうだね。

わたしは兎の右側を飲む。すると兎は右を向いた。ねー見て見て。わたしは飲みかけのカップを差し出す。彼女が笑った。わたしも笑う。

我々は我々のリアクションが如何なる要因によって妨げられているかをあれこれと論じ合う。我々はけして笑顔を忘れたわけではないのだ。

だが答えは出ない。厄介なのは言葉だ。言葉が我々をフリーズさせる。「もしも我々の言葉がウイスキーだったら」という本があった。もしも我々の言葉が珈琲だったら、などと謎めいたことを思ったり。

なんか、なんとかいう動物が珈琲の赤い実を食べて、その糞便に含まれる珈琲豆を焙煎して飲む珈琲があるらしいですね。

あるよ、なんとかっていう高い珈琲ね。我々の言語はなんとか続く。

南の方のなんとかっていう国に父が出張へ行った時のお土産にそのなんとかっていう珈琲豆を買って来てくれて。

とりあえず普通にペーパードリップで飲んだんですけど、うーん、あれは美味しいって言わなきゃいけなかったのかな‥‥。

ちょマジ、それ、飲んだの?彼女は無表情に頷く。いやちょっとぉ〜ずるいよ〜。わたしは取り乱した。

え、なに、最近珈琲に凝ってるんですか?彼女が笑う。

今日日曜日、水餃子を作るはずの夫君が昼寝している。仕方ない。久方ぶりに小麦粉なるものを捏ねる。薄力粉250gに強力粉250g、水も250cc。6歳が黙ってわたしの隣へ来た。ほれ。生地を半分に分ける。

夕食後風呂上がり昨日ふと出来心で借りてしまったアメリカン・ケンネル・クラブの公認全犬種標準書「犬の辞典」をパラパラ。

昔、普通免許を取らない代わりにとドッグトレーナーの免許を取ろうと考えた時期があった。なんだかそれで相殺だと考えた。

無い。

カレリアン・ベア・ドッグは無かった。

無くて結構。熊を躾ける犬ですから。ドッグショーがなんだってんだ。苦味ばしった強いイヌ。フィンランドのカレリアン・ベア・ドッグに会いたいな。

カレリアン・ベア・ドッグを躾けるのは大変らしい。「待て」と「伏せ」は出来るが「来い」が難しいらしい。

だけど突然の「来い」はたいていわたしもフリーズするよ。

カレリアン・ベア・ドッグはどうして「来い」が出来ないのかな。何言ってんだお前が来い、かな。

それともただ単にリアクションが普通以上に遅いだけなんじゃないかな。