河出書房新社 谷克二「あるナイフの物語」

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引越し先の公営住宅NHKFMが綺麗に入る。朝から夕方まで小さな音で聴いている。今日土曜日。土曜日は確かゴンチチだったなあ。あれはまだやってるのかな。

3日に1度スーパー銭湯へ行く。残業続きの主人の夕食後にイオンで買い物をして最後に銭湯なので既に10時近く。そんな遅い時間に熱い湯船に浸かるのはわたしには苦行だが主人はスーパー銭湯をすごく気に入った様子だ。夕べは10枚綴りのチケットを買おうとして財布に手持ちがないので明日またチケットだけを買いにここへ来ようなどと言う。

三女夫婦にお願いしてコストコでオリーブ油等台所の必要物を買って来てもらう。油とそれからチーズ、ソーセージ、魚、カレー粉、酒などだ。チーズは3種類。ゴーダ、チェダー、パルミジャーノ。

コストコはなんでもでっかい。チーズはすべて小さめの石鹸くらいのブロックに切り分けブロック一つ一つをぴっちりとラップで包みジップロックに入れて野菜室へ。ゴーダとチェダーは半分は冷凍保存、加熱用とする。昨日早速チーズソースをつくり蒸してから焼いたジャガイモに絡めて食べてみた。ジャガイモは主人と2人で一個、チーズは3種類を混ぜて大匙1くらいをミルクに溶かす。簡単で美味しい。幸せだ。

段ボールを壊して伸ばして重ねてビニール紐でしばるというのがこのところ続いた。大きさを揃える。ぐるぐる巻いてキュッとキツくしばる。なんだか楽しかった。こういう仕事どこかにないかな。

昨日はレコードプレーヤーでレコードを聴いた。プレーヤーをくれた友人が一緒にくれた数枚のレコード盤の中に井上陽水「9.5カラット」がありそれを聴く。レコード盤は忙しい。本を読みながら聴くが出来ない。5曲終わりで針を上げ、レコードを裏返さねばならない。

やはりレコードを仕舞いFMを聴く。谷克二を読む。北ドイツにキールという港があるがそこには戦争中Uボートの発着施設があった。今は博物館になっているようだ。谷は「マイスターの国」で書いた”ゾーリンゲン・ナイフ物語3〜ホテル「順風」”を加筆して「あるナイフの物語」に「キールの灯」という掌編として含めている。

キールの灯」は切ない話だ。Uボートは大戦末期は死亡率の高い潜水艦だったようである。レイモンド・チャンドラー横溝正史も戦争で引き裂かれた人々を書いた。

「マイスターの国」は隅々まで念入りに読んで一旦引越し前に図書館に返したが今週また借りてきた。これが文庫本になってたらいいのにな。

昔本屋でバイトしていたころ、お気に入りの作家の本を片付けながら「これが文庫本になってたら」と呟いたわたしを古参の店員が戒めた。文庫本にならないからこそ価値があるんじゃないか、店員は言った。まあ沢山の人が読むのではない限り文庫化されることは無い。文芸とは、マスメディアとは、店員は熱く語っていた。わたしはこれまでドイツのことをまるで知らないで暮らして来たようだ。

わたしのかつての友人がお気に入りの書籍の製本の糸を解き、中身を分冊化してバッグに入れて持ち歩いていた。2冊購入すればそれは可能だろう。谷克二を今日も読む。

谷克二はドイツ語を幾つもマスターしていてすごい。時間がかかるかもしれないし、それがなんの役にたつかわからないが、わたしも是非とも標準ドイツ語に加えて低地ドイツ語やスイスドイツ語を習得したいという気持ちが湧いてくる。とりあえずドイツ語の単語でメモをとったりアプリで音を聴いたりしている。

アラジンに蒸篭を置きいろいろなものを蒸して食べている。

蒸しトマトにオリーブ油と塩を振り、バケットに乗せると美味しいですよ。

もうすぐ夜が明けるようだ。

わたしの中のドイツの森は依然として霧の中である。