in the soop

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マレキアーレ


舞台と聴衆との境界線というのはある時はオーケストラ席、ある時は少しの段差、またある時はカメラマンさんの撮ってるよ、のキューのサイン。


バンタンのひらひらとした韓服。男装の韓服はいよいよ日本の和装とは違いが際立つ。カミシモも韓服も浮世離れには違いないがふんわりと揺れる韓服で戯れあうバンタンには孤独が似合わない。


私が男装の韓服を見た日私は子どもであったがやはり大人の男たちは酒に酔ってひどくはしゃいでいた。あれって着心地なのかな。素材かな。


私は女だけど思春期の私にもヒョン(ヒョンも女だけど)がいた。私たちはまるで男同士みたいだったんである。ヒョンにもプライドがあるんだからね。私はたびたびヒョンからそんな言葉で尊敬を強要されたのだが、私はといえばそれは屈託なく、ヒョンを全身全霊で尊敬し続けていたんである。


バンタンを見た日の夜に悲しいヒョンの夢を見ることが増えた。ヒョンと私が森の中で楽しく過ごす夢である。ヒョンに会いたい?いやあの頃に戻って私とヒョンがしでかしたこの世界でのいくつもの失点を取り戻したい?


夢の中、撮ってるよ、とキューが聞こえる。私とヒョンはもう失敗はしない。ヒョンにもプライドがあるのだからね。小声で言うあの声を今日も聞いている。


(in the soopというのは森の中で、という意味です)