遠い世界に〜坂崎幸之助

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http://youtu.be/a7g7yix5dd4

日曜日の夕方ロードショーを観に行った。映画が始まるまで1時間半もあるので近くのモール内をウロウロする。振り返ると朝4時半から畑作業、それからなんやかんや休む暇のなかった夫はベンチに座るやいなや撃たれたかのように眠ってしまったようだ。

本屋で本腰を入れて本を立ち読みする。坂崎幸之助の野良猫についてのエッセイを読む。野良猫というものは長生きをしないそうだ。彼は短命な野良猫を拾っては獣医へ連れて行きその後自宅で看取る。これまで何十匹も野良猫を腕の中で絶命させたという。

偽善だ、綺麗事だと言われるからこんな本は書きたくはなかったとふざけた調子でどこか人を馬鹿にしたようなはぐらかした文章がつづく。夢中で読む。こんなふざけた本で泣くもんかと思いながらもとうとう立ちっぱなしで完読した。優しいとかじゃない。ホントはこの人自身が野良猫なんではないかなどと考える。

まだ時間があったのでモールを出てリサイクルショップへ行く。中古CDの箱を漁るとMr.Childrenボレロ」が108円だったので買う。

特保の炭酸水、コッペパンなどを買い映画館へ。「アリスインワンダーランド/時間の旅」を観た。エンターテイメント。マッドハッターに家族がいたなんて滅茶苦茶な設定だななどと思いつつもテンポよく映画に引き込まれた。

精神病院のシーン。これも可笑しいでしょう。そもそも「不思議の国のアリス」はファンタジーなんである。だからアリスを精神病にしたらダメなんじゃない?

じっさい”不思議の国のアリス症候群”というれっきとした病気がある。物や人が小さく見えたり大きく見えたりするという知覚変容が主訴の病気だ。ルイス・キャロル自身こうした障害を持っていたとする文献がある。関東にいた時の主治医がこの病気の論文を書いていたが統合失調症から脳皮質損傷までと原因は様々で、そんな病名は可笑しいとする人もいる。

赤い魔女も白い魔女も実はアリス自身。ワンダーランドは脳内にある。ドラゴンで街を崩壊してマッドハッターの一家を滅ぼしたのもアリス自身の仕業。全て錆びつかせてゆくラストシーン。アリスの勢いが怖い。頭がおかしくなりそうだ。

もうここには2度と来ないわとアリスが告白するっていうのにマッドハッターはそんなことはない、と笑ってはぐらかすのだ。アリスは本気だ。これエンターテイメントだったはずなのに、と、このシーンは腹筋が震えるほど苦しくて辛い。そうだ脳内の奴らはいつだってこんな風に現実をはぐらかすのだ。ずるくて嘘つきの臆病者なんだ。

3年間の航海修行で心も身体も強くなったアリスは躊躇わない。するりと鏡の中へと体を滑らせた。おい待てよ、あんなに好きだったジョニーデップとまさか別れられるはずはない。わたしは涙が止まらない。

赤い魔女の母親の不理解。タルトを食べた、お前は嘘つきだと決めつけた。無理矢理アリスを婚約させようとしたアリスの母親の冷淡。映画のラストでアリスの母親はアリスと共に船に乗り込む。ふうんこんなラストか。もう映画館を出て行きたい。泣きながら立ち上がると夫に制された。わたしはもう一度座った。

帰宅して近所のスーパーで買ってきた寿司とビール。

ボレロ」聴く?いやいい、明日ゆっくり聴く。わたしはyoutube坂崎幸之助なぎら健壱の「遠い世界に」を聴く。

そうだな、やっぱりわたしももう一度旅に出よう。さてどこがいいかな。

よしヤホーで検索だ。