本④

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bts'テレパシー'


よく笑うバンタンたちを見ていると私の小さい弟を思い出す。


私がまだ学校に行かない歳の頃のことだ。その日仕事帰りのクズ屋の叔父が集めてきた子ども向きの本が部屋中に散らばっていた。私たちはその本たちを一冊ずつ丹念に調べていた、



私はまだ文字が読めなかったので全ての本の絵だけ見ていた。弟が一冊の本を持ってきて、これを読んでくれと私に迫った。それで私は弟が指差す挿絵を見た。


それは虫のようにすごく小さい人が、屈強な大男と向き合い何か押し問答をしている挿絵であった。弟がしきりに言うので私はとうとう思いつくままに挿絵から話しをでっち上げたんである。


「ちいちゃい、ちいちゃい。それはちいちゃい人のおはなしです」。


弟が笑った。


私も笑った。