御幣餅


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マイケル・ブーブレ アイムクレイジー




少し前、友人らと岐阜県をドライブ中県道沿いに五平餅ののぼりがはためくのを見つけ、目的地からの帰り道その五平餅屋で五平餅を食べた。





かつてわたしには五平餅好きの友人がいた。彼女は五平餅ののぼりがはためくのを見ると立ち寄らずには居られない。どうしても、というので彼女のために立ち寄って五平餅を買い求めたが食べ終わった彼女が「不味い」とつぶやいたことがあった。彼女は遠くを眺め最近は不味い五平餅が多いと言った。





そんなことを思い出しては五平餅を食べたが五平餅というのはどちらかといえば食べづらい。食べづらいのは扁平な餅のカタチのものを串に通してあるからで、焼き終わり串から外す、もしくは串には通さず網焼きで仕上げればいいのにとつぶやいたところ友人の一人は強く反論した。





友人は食べにくさもまた五平餅の個性だと譲らない。それでひょっとしたら賛同が得られるかもと不味い五平餅を悲しんだかつての友人の話をすると彼女は幾度も頷き、五平餅とは奥が深いものだな、と時代を憂うような表情をした。





五平餅に旨い不味いが生じるのは何故かと尋ねると彼女はうるち米の品種、タレの配合、焼き方だという。特に焼きは遠赤外線加熱でなければならないので家庭用のトースターなどではこの味は出せないと言った。





わたしはこれまで五平餅を食べて不味いと思ったことはないし、まあなんなら心から美味しいと思ったこともない。人生で数回ほどの五平餅を食べた記憶は酷く曖昧で五平餅を食べにくさから嫌厭したことをはっきり覚えている。





次の目的地では青のり、チーズをトッピングした五平餅のポスターを見つけたが友人は一瞥して之は邪道なりと立ち寄ることはしなかった。要するに彼女とかつての友人は五平餅が好きなストイックな女という点が類似していた。





五平餅の五平は人の名前か。ゴヘイを貨幣とする説もある。甘味噌で味付けした大きめの小判を頬張るわけでなかなか良い。ひと晩寝て起きて五平餅のことを考えていたら串に刺した鮎の塩焼きが脳内に浮上した。王道五平餅は鮎の塩焼きと共に焚き火で焼かれ食されるのではなかろうか。





そんなことを友人に言いたいけれど五平餅巡りもいいが、ケーキ屋巡りがしたいんである。若い女の子ってのはケーキとかを好きなんじゃないのかなあ。すごく頑張れば五平餅何本食べれるかとかそういう話とかももちろん嫌いじゃないけれど。